攻撃的なアリ

 「10 デインツリーへ」で書いた木の上に葉を固めた巣を作るアリGreen Tree Antは、ここでもたくさん見かける。B&Bのテラスの柱を登っていくのを昼間たくさん見かけたのだが、手をかざすとキッと頭と腹部を振り上げて威嚇してくる。遊び相手に面白いのだが、触ると多分噛みつかれるだろう。ケアンズの公園では木の上から降ってきて噛みついた。

こいつらが、夜部屋の明かりに惹かれてわれわれの部屋の窓ガラスにとまる虫を狙って、たくさん集まってくる。虫が近くにとまると思いもよらずすばやくアリが飛びかかる。虫もあわてて逃げる。不運にもつかまったものは、何匹ものアリが集まってきて噛みつかれて、じたばたしている。アリの数倍はある虫をみんなで押さえていたが、しばらくすると2匹が触角を切りとって持っていった。胴体に噛みついている奴もいる。やがてバラバラに運ばれていくだのろう。

 もっともその後日本に帰ってきて、日本のアリもかなり攻撃的であったことに気がついた。先日テニスコートではっと気がつくと足もとをウリハムシの仲間がびっこをひきながらあわてて逃げていく。どうやら私が踏んづけたらしい。テニスコートには大・中・小の少なくとも三種類のアリがいるのだが、このびっこをひいて急いでいるハムシに次々飛びかかったり、つかみかかろうとする。そのたびにハムシはビクッとしてアリをふりほどくのだが、とうとうアリ・中にしっかり捕まって引きずられてしまった。ハムシも必死になって抵抗するので、あっちへこっちへと行ったり来たりの状態が続いたが、アリ・中がもう一匹応援に来ると2匹で横抱きにするようにして、さっさと運んでいってしまった。息のあった二人三脚を見るような、見事な運びっぷりであった。砂入り人工芝とはいえアリがたくさんいるのを不思議に思っていたのだが、テニスプレーヤーに踏んづけられた虫が手に入る、格好の餌場だったのだ。
 

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