生きたままのドバトをむしるカラス

話には聞いていたのですが、東京都練馬区の光が丘公園で、ハシブトガラスが生きているドバトを押さえつけて羽をむしっているところに出会いました。ハシブトガラスは1羽で、地面の上でもがいているドバトを足の下に押さえつけて羽をむしっているところでした。近くにはドバトの群れもいたけど無関心。近くの木の上には、10羽くらいのハシブトガラスがいたのですが、こちらも見ているだけです。3mくらい離れたところで立ち止まってもカラスは動じないので、デジタルカメラで撮ろうと思ってバッグに手を入れたら、ドバトを放してカラスは木の上に。ドバトは飛んで逃げて行きました。カラスは数十メートルほど追いかけたのですが、あきらめたようです。
 ということでドバトの命の恩人になったのですが、あの小さな頭では恩返しは期待できそうにないなあ。
 しかしドバトって学習しないやつで、他のカラスもドバトの群れの上を時々威嚇するように飛ぶのに、ちょっとよけるだけです。
 ハシブトガラスが生きているハトを襲う観察例は、前からあって、私自身も1986年に、飛んでいるシラコバトを複数のハシブトガラスがしつように追い回しているのを、本会会報に報告したことがあります。駆けつけたときはシラコバトは地面に降りて(落ちて?)いて、まもなく息絶えてしまいました 外傷はなさそうに見えたんですが。
 数年前から、東京では生きているドバトを襲う報告がけっこうあるようです。死体の特徴は「頭がなく、羽毛は相当量残っていて、内蔵部分がえぐりとられている。」とのこと。(「大都会を生きる野鳥たち 川内博 地人書館」より)。あのままカラスをおどかさずに見ていたら、「生きているドバトの頭をちぎるハシブトガラス」なんてオカルトな場面がみられたのかしらん。

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