ムル国立公園 9 最後のディアケイブ出巣

 2017年2月22日今日も朝6時すぎにディアケイブの観察台へいく。あいにく霧がかかっていて洞窟入口も見えない。6時半過ぎると洞窟の入口方向からアマツバメの仲間(たぶん洞窟にすんでいるコケアナツバメMossy-nest swiftlet Aerodramus salangana(Collocalia salagana) がたくさん飛びだしてくるが、入口はあいかわらず霧で見えない。コウモウモリダカが一頭飛んでいくのが見えたが獲物がいなくてがっかりしているのかもしれない。シジュウカラのような動きをするChestnut-crested Yuhina Staphida everettiという錆色の頭をした冠羽のある小鳥がさかんに観察台近くの藪を出入りしている。結局この日も7時50分まで待ったが、コウモリは見られなかった。

 帰り道では普通サイズのリスにも出会った。頭につんとユーモラスに冠羽が立っているCrested JayPlatylophus galericulatusは数少ない識別できた鳥。

 受付でキャンセルになったナイトツアー22ドル×2人を返金してもらって本日のWIFIを購入。今夜はもう最後なのでディアケイブの出巣をもう一度見に行くことにする。いずれにせよ今夜に振り替えるかとは聞かれなかったので満員なのかもしれない。

昨日のバナナの葉のコウモリをがどうなったか見に行ったら、既に葉が開いていた。少なくとも5頭が昨夜はねぐらにしていたわけだが、その名残に糞がついている。

 午前中Botany loopに行くと道の直ぐそばの生姜の巻いた葉に薄茶色のコウモリが一頭お尻を向けて入っている。午後もう一度エレンさんに見せに行ってウーリーコウモリと確認してもらったが、ひょとしたら子どもを抱えている母コウモリかもしれないという。エレンさんは昨日プリンターが壊れたといっていたが、今度はパソコンも壊れたそうだ。この辺境の地でどこまで送れば修理してもらえるのだろうか。


 今夜はムル国立公園最後の夜、ディアケイブに行く途中横道に寄ってwater fallという滝へ行く。横道は木道でなく地面の上を歩くので連日の雨で水たまりになっているところもあり、ぬかるんで歩きにくい。歩いているうちに足の下でクシャッという音がした。沖縄で夜クビワオオコウモリをさがしに歩き回っていると、時々アフリカマイマイを踏んづけるが、似たようないやな感触だ。足の下で例の巨大なダンゴムシがつぶれていた。丸まるのは捕食者からの防御のためと思われるが、人間には効果が無いようだ。
 滝そのものは雨季だというのに水量も少なく小さい。乾季だとほんとうに貧弱になるのではないだろうか。カワセミが飛ぶ。後から来た10人くらいのグループが滝壺で泳いで遊んでいる。

 ディアケイブの観察台についたのは17時半小雨が降っていたが、17時50分頃出巣が始まるころにはあがった。18時頃大きな長くつらなる群れが5分くらいかけて出巣した。姿が見えなくなると観客から拍手が起こる。これでみんな帰り始めた。この日は18時20分頃に出巣は終了したのでわれわれも帰ることにした。途中であいかわらず2種類のCF音でエコーロケーションするコウモリがとんでいた。とうとうわれわれと縁が無かったナイトツアーと途中で出会った。小雨がまた降っているのだが今夜は決行したようだ。

 木道沿いの蔓に、以前ボルネオのクチンでも見たハチマキカグラコウモリがぶら下がっていた。10分くらいあたりの様子をエコーロケーションでうかがっていると思われる様子が観察できたのが幸運だった。


 翌早朝もディアケイブの観察台まで朝6時10分に行ってみたが、あいかわらずコウモリは見られなかった。とうとう朝は実りがなかった。この日は誰もいない観察台にボルネオコビトリスが20頭くらいいて、観察台の木の床を走り回って追いかけっこをしたり手すりの上を走ったりしていた。再び洞窟からコケアナツバメが次々出巣するのが見られるがコウモリの姿はない。6時50分頃から霧が濃くなってきて洞窟の入口が見えなくなってやがて雨が降ってきたので帰ることにした。


 荷造りをして朝ごはんを食べてチェックアウトをして荷物をSecurityの荷物部屋に預けてから少しぶらぶらする。Botany loopへいくと昨日と同じ生姜の巻いた葉にウーリーコウモリがいた。エレンさんに挨拶に行って今日も朝の帰還は見られなかった話をすると、天気が悪いのでもっと早くコウモリは引き上げたのかもしれないと言われた。生姜の葉は2日くらいは使うようだ。来年フィリピンで行われる東南アジアコウモリ会議での再開を約束してお別れする。

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