ラバウルへ

 パプアニューギニアへの直行便は、2002年4月20日に運行が始まったばかりである。(それ以前にも関西空港からは時々不定期に直行便が出ていたらしいが)それにこの直行便は週に一回土曜日にしかない。ということで、旅行のスケジュールは自動的に土曜日から土曜日の一週間である。

 飛行機は21時20分発のはずだが、到着が遅れたために実際は22時30分頃離陸する。ほぼ満員でオーストラリアのガイドブックを持っている人もいるので必ずしもパプアニューギニアに行く人だけではないようだ。

空港内では茄子禁止・・ではなくて、ビンロウ禁止のマーク 現地時間朝5時半に首都ポートモレスビーのジャクソン空港に着陸する。飛行機がゲートに移動するまで20分くらいかかり、更に能率の悪い入国手続きに延々と待たされて手続きが終了したのは7時半だった。空港にタバコ禁止のマークと並んで見慣れないものがあった。「あれはなんだろう。ナスかな」と私と同じだけ南の国々を経験しているはずの夫が聞いてきた。「ナス禁止」なわけはなくて、ビンロウを噛むなというマークである。こういう公共の場では禁止されているが、町中はいたるところビンロウを噛んだ赤い唾液のあとだらけである。ラバウル行きは11時55分発なのでまだ4時間あるが、首都ポートモレスビーは特に犯罪が多くてタクシーも危険だと聞いてきたので、国内線の出発ロビーで待つ。ソファーでうたた寝していたら空港の職員から二回起こされて「どこにいくんだ」と聞かれた。次々と飛行機が来ては出ていくので、寝過ごしたんじゃないかと心配してくれているようだ。窓から見えるのはイエスズメとひょうきんなヨコフリオウギビタキとキビタイツバメのみ。

トクア空港からは噴煙を上げるタブルブル山が見えるラバウル行きの飛行機は20分くらい遅れて出発する。雨期のせいかどこも雲で覆われていて景色はほとんど見えない。1時間半ほどでトクア空港へ着陸。もとのラバウル空港は1994年に3つの火山が爆発して、今は火山灰の下なので、湾をへだてた対岸にできた空港だ。ラバウルに代わって発展してきた町、ココポに泊まる。

ピーナッツを束ねたものが、おやつとして売っていた とりあえずホテルにチェックインして、散歩に出る。数分いったところの小さい売店を覗く。カウンターが鉄格子で覆われているのは、泥棒よけだろうか。品数が少なく、掘り出してきたままのピーナッツを束ねたもの、スナック菓子、パインソーダを買う。計2.5キナ。1キナは約30円だ。店の前の草地で座って食べていると、こどもたちが物珍しそうにしている。周囲は現地の人ばかりで、どうも一身に注目を浴びているような気がする。女性は華やかな手編みのビルムという手提げをもっている。紐の部分をおでこにかけるのが普通のようだ。男性も布を腰に巻き付けたスタイルの人もけっこういて、裸足の人も多い。男性はヤシの葉で編んだぺたんこのバッグを脇の下に抱えている。ビンロウなどが入っているらしい。道路を人を満載したピックアップトラックがしょっちゅう走るのはアメリカンサモアと同じだ。
 すぐ近くの放送局の屋根にナキカラスモドキが群れている。二羽ずつ並んでいるのは繁殖期なのだろうか。あとはヨコフリオウギビタキとビスマルクガラスとアマツバメの仲間が飛ぶ。

次のページへ

パプアニューギニア紀行の目次へ