言葉の壁

ランカウイは面積487平方キロメートル、屋久島とほぼ同じ大きさである。この広さで動物の調査観察をするときに、闇雲に歩き回ってもみのりは少ない。聞き込みで情報を収集をしているつもりなのだが、観光客とは全く縁のない集落の普通の人々には、英語が通じないことがままある。

まったく通じない場所に立ち寄ってご飯を食べることもあるのだが、そういうときは唯一わかるナシゴレンとミーゴレンをもっぱら注文するか、セルフサービスのお店なら無言である。

オオコウモリ生息地はオーストラリアから太平洋の島々、そして東南アジア、アフリカ。これらの国々の現地語は、チャモロ語、フィジー語、フィリピン語、ベトナム語、タイ語、インドネシア語、マレーシア語、パプアニューギニアなどはいったいいくつ言葉があることやら、アフリカも現地の言語は数え切れないほどあるし、もとの宗主国の言葉が公用語であってもフランス語やポルトガル語が多いし・・・とうてい対応できるわけないので、パプアニューギニアもそうだったけど、現地に住んでいる日本人の好意に頼ることになる。

尾島さんが変わりに聞き込みをしてくれているのをみて、やっぱりこちらの人の言葉が喋れれば、こういう話がもっと聞けるのにと改めて思う。それと今回大災害があったのに気がつくまでに時間がかかったのは、やはり現地の人同士が喋っているのはマレーシア語だから、今一周囲の様子がわかりにくいせいだろう。

オオコウモリを見に行くなんて、絶対に日本人ガイド付きのパックツアーの旅行ではありえないので、いちばん広く通じる言葉をと、ここ数年、かなりの時間とお金を投資して、英語だけは使えるレベルまでもっていった。どっちみち日本ではオオコウモリの情報も限られているし、いずれは世界に向けて発信したいという野望もあるし。

でもまったくの普通の人から、何気なく出てくる情報が手がでなくて、歯がゆい思いをすることが多い。

ブッポウソウは日本では珍鳥、ここでは普通種世界オオコウモリ旅行をあちこちしたあと、遠い将来はオオコウモリの生息する海外に移住したいけど、マレーシアは自然も料理も人も物価も気に入ったから、第一候補ではあるが、とりあえずは、特定の国に住みたいわけではなく、世界中のオオコウモリが見たい私には解決できそうにない難問だ。

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