津波の跡

お散歩にくっついてきた猫

朝の散歩に行くと、猫が一匹ついてくる。かなり先まで一緒に歩いてきてから、突然来た方向に走って帰っていったのは、ついうっかりして、なわばりから出てし まったからだろうか。むかし玉原高原で夜の散歩につきあってくれた不思議な猫、チロを思い出す。

散歩中にまたまた国際電話がかかってくる。今度は夫の職場から。被災地に旅行している職員の安否を確認するためだった。日本ではそんなに騒ぎになっているのだ ろうか。ちなみに私の職場では、新年に顔を出しても、誰も心配してなかった。

島の中程に、林の中に本屋さんが数軒点在している不思議な公園があって、本屋さんは閉まっていたけど、イワミセキレイやカザリオウチュウが見られた。近くには カササギサイチョウが集まる見事なfigの大木もあった。
北部にドライブすると、途中の海岸近くに消防車が止まっている。このあたり一帯は水と泥にまみれていて、ゴミが散らばっている。迷彩服を着た軍隊かと思われる 人たちもたくさんでている。火事でもあったのだろうかなどとピントのずれたことが頭に思い浮かんだが、ああそうだこれは津波にあった跡だと突然気がつく。

イン ド洋に向いてはいるけど、このあたりの海岸線はちょっと奥まっている。波の動きは複雑である。防波堤があるところとないところがあり、ないところではその力が 強まったのだろう。

この先のパンタイコックという湾にはヨットの停泊所があり、ショッピングセンターがある。車から降りてマリーナを眺めると、桟橋が途中で折れて沈んでいる。 あちこちで沈没して船首だけがつきだしていたり、ひっくり返っているボートがある。ここも津波にやられたようだ。

ショッピングセンターでStraits Timesという英語の新聞を見つけた。 マレーシアは台風や地震など自然災害は比較的少ない国だと言うことで、死者51人不明者98人(12月28日付けでは)というのは、大ショックなようだ。アブ ドラ首相はスペインで休暇中だったのを、被害のひどいペナン島に直接視察に来るそうだ。余震による津波がまだ来るかもしれないので、避難所にいる人はまだ家に 帰らないようにという記事もある。津波の死者という表があって、この時点では24415人。表には二日目と書いてあって、その後この新聞を何回か目にしたが、 日を追うごとに、この表は毎日不気味に1万人ずつくらい増えていった。 地震がスマトラ島の西が震源地でマグニチュード8.9(この時の報道では)という途方もないものであることも初めて知った。

安いのが取り柄のトロピカルリゾートのテレビは映らないし、食堂ではよくテレビがついているけど、マレーシア語なのでなにやら大変なことがおきたらしい映像 と、地名だけが聞き取れるので、かなり広範囲に被害が広がっていることは想像していたけど、想像を絶するものであった。

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