イソップ

イソップ童話には、コウモリの鳥とも獣とも言いがたい曖昧さをテーマにした話が2つある。一つは地面に落ちて、イタチに捕まって、鳥と戦争をしているので逃がす訳にはいかないといわれて、自分は鳥ではなくてネズミだといって放免してもらった。別の、ネズミが仇敵だというイタチに捕まったときには、自分はネズミではなくて蝙蝠(鳥?)だといって放してもらう。これは状況に合わせて豹変する人は絶体絶命の危機を逃れるという教訓で悪い話ではないが、もう一つはお馴染みの鳥と獣の戦争で、いつも、優勢な陣営について戦っていたのが、戦いが終わったときに、それが両軍に知れ渡って、卑怯だと言うことで蝙蝠は両方から糾弾されて追放され、それからは暗い隠れ家に身を隠し、夜、独りきりで飛ぶようになった話だ。「卑怯なコウモリ」というタイトルがついていることもあるせいか、有利な方にころころ寝返る信用できない奴というのが、コウモリのイメージになってしまったのが残念だ。

コウモリが通常夜しか姿を表さないのを、隠れるためと解釈した話もある。前述の鳥と獣の戦争もそうだが、イソップ童話にはもう一つ『蝙蝠と茨と水薙鳥』の3人が催合で商いの旅にでることにした話もある。船が嵐に遭って転覆し、すべてを失ってしまう。金を借りて資金にする役割を担っていた蝙蝠は借金取りを恐れて昼は姿を表さずに夜に餌探しに出かけるという。

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