ギリシア神話

 ギリシア神話ではコウモリは地下の世界と結びついている。水仙や柘榴とともに冥府の女王のペルセポネの象徴であるという。ローマ神話ではプロセルピナと呼ばれ、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの絵である。

ローマ神話の復讐の女神フリアイ(エリーニュス)はこうもりの翼を持っている。ミニュアースの娘達はディオニューソス祭の陶酔に身を任せてこうもりに変身させられた。そのコウモリはラテン語でウェスペティーリオ(vespertilio)「夜の鳥」の意味と呼ばれる種類のコウモリであった。(動物シンボル事典)


ミニュアデス(古希: Μινυ?δε?, Minyades)は、ギリシア神話に登場する女性たちである。彼女たちはボイオーティア地方の都市オルコメノスの王ミニュアースの3人の娘で、神話によると酒と狂乱の神ディオニューソスに対して不敬であったので、神罰を受けて鳥あるいはコウモリに変身したと伝えられている。


オウィディウス
オウィディウスの『変身物語』において、4巻の物語の冒頭部分をリードするのはミニュアースの娘たちである。娘の1人アルキトエーはディオニューソスの祭祀を認めず、ゼウスの息子ではないとさえ主張した。また他の姉妹も彼女と同じ考えだった。彼女たちは家で機織りに勤しんでいる間、たがいに様々な物語を語って聞かせることにした。そこで姉妹のうちアルキトエーとレウコノエーはピューラモスとティスベー、アレースとアプロディーテー、レウコトエーとクリュティエー、サルマキスとヘルマプロディートスといった物語を話した。しかし彼女たちの話が終わったとき、様々な楽器の音が鳴り響き、機が緑色に変わり、織られた布が木蔦の葉を出したり、葡萄の木に変わったり、糸が若木の枝に変わった。また家が揺れたかと思うと、火の光で輝くなどの異変が起きた。煙に巻かれたように感じた彼女たちが家の中を逃げまどっていると、やがて体が小さくなり、手足に被膜ができて、コウモリになった。

アイリアーノス
アイリアーノスによると、ミニュアースの娘たちは夫を慕っていたことを理由にディオニューソスの祭祀を拒んだ。彼女たちが一心不乱に機織りに勤しんでいると、ディオニューソス神の怒りによって、機に木蔦や葡萄の蔓が絡みつき、糸篭の中に蛇が入り込み、天井からワインや乳がしたたり落ちるなどの異変が起きた。しかしそれでも入信を拒んだために彼女たちは狂気に陥り、レウキッペーの幼児を引き裂いて殺し、ディオニューソスの信女たち(マイナデス)の一群に加わった。しかし幼児殺しの罪のために信女たちからも追われた彼女たちは、最後にカラス、コウモリ、フクロウになった。

アントーニーヌス・リーベラーリス
アントーニーヌス・リーベラーリスによると、ミニュアースの娘たちは非常に勤勉な女性たちばかりで、他の女たちがディオニューソスの祭祀のために家を出て、山中で生活することを散々に非難した。そこでディオニューソス神は少女の姿に変身し、彼女たちにディオニューソスの祭祀に参加するように勧めた。しかし彼女たちは神の言葉を聞こうとしなかったので、ディオニューソスは怒り、少女の姿から牛、ライオン、豹へと変身した。また彼女たちが機を織るために握っていた横木からネクタルと乳が流れ出た。これらの神秘的な異変を目の当たりにした彼女たちは恐怖し、籤を引いて、当りを引いたレウキッペーは神に捧げる生贄として息子ヒッパソスを姉妹とともに引き裂いて殺した。そして彼女たちはミニュアースの家を出て、ディオニューソスの祭祀に加わったが、最後にヘルメースが杖で触れ、太陽の光を嫌う3つの鳥、コウモリ、フクロウ、ワシミミズクに変えた。


ミニュアスの娘たち(こうもり)はオウィディウス 『変身物語 (上)』 
中村善也 訳 岩波文庫 赤/32-120-1 岩波書店 1981年9月16日 第1刷発行1983年12月20日 第2刷発行366p文庫判 並装定価500円に入っているはず

 ギリシア神話でも冥界に通じると信じられていた洞穴があり、夜にそこを下っていくと冥界入りができる。ただし冥界にコウモリがいるとは聞かないが。
(古代ギリシアのリアル)

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