チスイコウモリ伝説

チスイコウモリの生息しないヨーロッパだが、吸血鬼は17世紀から18世紀にかけて東ヨーロッパのスラブ民族の民間伝承に含まれていたようだ。1897年のブラム・ストーカーの小説『ドラキュラ』が映画化されたときに主人公のドラキュラ伯爵が巨大なコウモリに変身するので、コウモリと吸血鬼を結びつけるイメージは定着してしまった。

false vampire bat即ち偽チスイコウモリという名前を持つコウモリがいる。アラコウモリ科Megadermatidaeの仲間でアジア、アフリカ、オーストラリアに6種(Cardioderma corアフリカアラコウモリ、Lavia fronsキバネアラコウモリ、Macroderma gigasオーストラリアオオアラコウモリ、Megaderma lyraオオアラコウモリ、Megaderma spasmaコアラコウモリ、Eudiscoderma thongareeaeがいる。大型で肉食であるが決して血液食ではないけれど、コウモリが小動物を襲うのを見て、血液を吸うのか?と連想したのだろうか。南アメリカにはヘラコウモリ科でやはりfalse vampire batという名前を持つコウモリがいて学名Vampyrum spectrum、和名チスイコウモリモドキである。

Pteropus vampyrusという学名を持つコウモリもいるが、これはジャワオオコウモリと言って果実食である。吸血鬼とはほど遠いのになぜこんな学名が付いたのだろう。

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