5 島内散策
←大池
久しぶりなので島内をあちこち歩く。
大東神社や其の周辺は、夜いつもオオコウモリがやってくるところで、ペリットや食い痕が必ずといっていいほど見られるのだが、今回は全然見つからない。神社の池にはサガリバナの花がいっぱい落ちていた。昼間は蕾しかないけど夜になると開くのだろう。
この島は環礁が隆起してできたので、通常の「島」の概念と違って、外周が高く中央部は低く平らである。中央部には池がたくさんあり、それがこの島の動物相をを面白くしている。後ほどトンボに詳しい人にあったが、この島には固有種はいないけど、他では珍しい種が普通にいたりしてトンボ相そのものは面白いといっていた。大きな島から遠く離れているという点では北大東も同じで、同じような地形なのだが、北大東には池がほとんどないのだ。
いちばん大きな大池には、池に閉じこめられたオヒルギ群落がある。このオヒルギ群落のところに木造三階建ての瀟洒な見晴らし台ができていたのでびっくり。池の周囲が植物が茂っていて池に近づきづらいので、確かにここに登ると便利ではある。風が吹き抜けて涼しい。この島には白いカイツブリがいつも数羽いて、この大池の東水門から眺めると、数羽の白カイツブリが同時に見られることもあったのだが、今回は一回も見なかった。
水面をチョウトンボがたくさん飛んでいる。
島の外周は断崖絶壁ばかりで、湾のようになった港は全くない。そのため船は漁を終えるとクレーンで陸上に引き上げてしまう。ところが島の北側に、島自体を切り込んで海を内側に引き入れて漁港をつくろうという壮大な工事が進んでいる。まだ完成していないが、既に漁港として使っている。もっとも東シナ海の荒波に対して、ほんのちょっと島を切り刻んだくらいでは大した効果がないのか、ここでも漁から帰るとクレーンで船をつり上げている。
ところでこの島を切り刻む壮大な工事の結果出てきた石灰岩は、島の北西部に万里の長城のごとく積み上げられて、飛行機からも見える壮大な壁となっている。前に見たときは白い石灰岩がやたら目立っていたのだが、一番上に土を盛ったところにギンネムなどの植物が生え、壁も少々黄ばんできたせいか、前よりは目立たなくなっていた。