2 馴染みの宿が

ホテル吉里の堂々たる新々館  狭い島の中で、中心街が一つしかないと、馴染みの殆どの人と顔を合わせることになるので、宿を変えるのはなかなか勇気が入る。そのため南大東では最初に縁があった農協会館という、6畳くらいの小さな部屋だけが並ぶ、トイレシャワー共同の安宿に、その後オーナーが変わってもいつも泊まっている。 やがてここは吉里会館となって、鉄筋3階建ての新館を増築して、ホテル風の洋室の鍵のかかる部屋もつくり(ちなみにできたばかりの頃新館に泊まったら、サービスでこの中の一番豪華な部屋に泊まらせてくれた)、今回はなんとホテル吉里と名前を変えて、鉄筋4階建ての更に新しい建物が道路に面して建っていた。風通しがよく見晴らしのいい4階はレストランになっていて、レースのカーテンがロマンティックにかかっている。3階はエレベーターから赤いじゅうたんがひいてある部屋が二つあるのは貴賓室??昨年の開拓100周年記念祭の来賓用だろうか。秋篠宮夫妻も来ていたはずだけど、オオコウモリ観察できたのだろうか。

 ちなみにわれわれは最初新館ができたとき一度好奇心から泊まってみただけで(あれ、二回泊まったかな)あとはいつも安い畳敷きの鍵のない部屋に滞在している。

 変遷の激しいこの島の歴史そのもののような宿で頼んだレンタカーには、横腹に「パンの大ちゃん」と描いてあった。一時期この島に手作りのパン屋さんができたけど、つぶれてしまったらしい。この車も人手に渡ってレンタカーとして第二の人生を歩んでいるようだ。生活物資を運ぶ船が着く度にお店には菓子パンが入荷して、島の子供たちが買いに来ていたのだが、そのころのような生活に戻ったのだろうか。
ホテル吉里最上階の食堂から←ホテル吉里の最上階の食堂から

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