ムル国立公園 10 日本への遠い道

 国立公園から空港への送迎は地元の人が自分たちの車を使って行っている。行きは飛行機が着くと空港に車が待っていたが、帰りは国立公園の前には誰もいない。2軒先の左側にある家でやっていると掲示があったので行ってみたが、今車がないという。国立公園前に止めてあるあの黒い車に頼めという。運転手がいないのでしばらく待っていると、自転車に乗った旅行者が通りかかって、「車がないのなら、ホテルに戻ってタクシーを頼んであげましょうか。」と声をかけてくれたが、急いでいないのでことわる。この人も同じ13時15分発のクチン行きに乗ることがわかった。近くにマリオットというリゾートホテルがあってそちらのお客さんらしい。リゾートホテルは空港送迎があるし、まだまだ時間には余裕があるので、最後の朝をサイクリングしているようだ。

 無事黒い車の主がやってきて空港まで1人5リンギットで送ってもらったのが11時すぎ。まだまだ早いので空港のカフェでアイスコーヒーを飲みながらスズメやツバメやアマサギを見ていると土砂降りの雨が降り始めた。屋根の樋から滝のように落ちてくる水で空港で働いている人たちがポットに水をくんでいる。飛行機が来る気配がないので心配だが、チェックインはさせてくれたので13時頃待合室に入る。


「クチン行きに乗る人」と呼び出されて待合室内のカウンターに行くと、まだ飛行機が来るかどうか未定なので14時に外のチェックインカウンターに改めて聞きにいくようにとのことで空港カフェのミールクーポンを渡された。遅延ミールサービスは全員炒飯と鶏の唐揚げに水のボトル一本だ。さっきまでカフェのおじさんは暇そうにわれわれやほかのお客さんが来るたびに話しかけていたのだが、突然大忙しだ。先ほど国立公園前で会った男性は香港から来てこの後クチンで2泊するという。あとシンガポールから来たという家族連れも同じテーブルだ。14時にシンガポールから来た家族のお父さんがカウンターに聞きに行ってくれたが5分後にまた来るように言われたという。食べ終わってから改めてカウンターに行くと、なんと欠航が決まったそうだ。

 カウンターにどうなるのか聞いたらマリオットに泊まって明日の便をとることになるというのだが、もう1便直ぐ近くのミリというところにいく飛行機がある。これに乗せてもらえないか交渉する。ミリにいっていいのかというので、そこから乗り継いで日本に帰れるのならばというと、いろいろとコンピューターで調べてくれてたっぷり10分以上かかったが結局ミリ行きの飛行機に乗れることになった。更にミリ→クアラルンプールもとってもらえた。問題はクアラルンプールであまり余裕がないので飛行機が遅れると乗れないかもしれない。なにしろクアラルンプールでの乗り継ぎ時間が55分しか無いのだ。しかしクアラルンプール→日本の明日の便もいっぱいだという。とりあえずこれで行ってみることにする。一緒にサービスミールも食べた香港からの男性に、日本に帰れるかも、と挨拶して別れる。

 もう一度セキュリティを通って待合室で待っているとミリからの飛行機が着陸。ほとんど満席なので席はお隣ではなく通路を隔てている。ミリまでは30分の飛行、天候が悪くかなり揺れたのでミリに着陸したときは拍手が湧いた。ミリでは5時間近く待ち時間があるがあいにくWifiがうまく繋がらなくて暇だった。ミリからクアラルンプールは2時間ちょっとの飛行だ。こちらもほとんどほとんど満席だったので2人の席はかなり離れた。啓子は一番後ろの席になったので着陸しても早くは出られない。しかし幸いにも搭乗券を見間違えていて55分はゲートが開くまでの時間で成田行きの飛行機が出発するまでには1時間25分ある。風の具合が良かったのか飛行機も早めについて、余裕でゲートにたどり着くことができた。

 やれやれ熱帯の雨季をなめてはいけない。

 

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