La roussette 12 オオコウモリのいる宿

 夜7時、併設されているレストランに行こうと敷地内を歩いていると、大きな木のそばでオオコウモリの声がした。懐中電灯を取りに帰って照らしてみたが、姿は見えない。聞き間違えたかと思って懐中電灯を部屋に置いて木のそばを再び通ると、かなり低い位置からオオコウモリの声がする。木の奥に小屋があり、オオコウモリが飼育されていたのだ。隣町にオオコウモリ料理を出すレストランがあるので、もしやと思って、唯一英語の通じるスタッフに聞いてみたら、これはお客さんに見せるためだという。後ほどホテルのパンフレットを見せてもらったら、表紙にオオコウモリの写真が載っていた。

トロピカルサラダは、二種類のドレッシングを使い分けること レストランはなかなか豪華だ。Tボーンステーキプロヴァンス風とシーフードたっぷりのトロピカルサラダを注文する。隣のテーブルで、ノートパソコンを操作しながら食事を待っている男性がいた。生牡蠣とワイン、そしてメインディッシュの後はブランデーと、1人で食事を楽しむ様子が、なかなかスマートでかっこよかったのだが、食事を終えてテーブルを立った際に我々のところにやってきて、サラダについている2種類のドレッシングは、透明な方は野菜に、マヨネーズベースの方はエビにかけるのだと教えてくれた。どちらも透明な方のドレッシングをかけていたのだが、グルメなフランス人から見たら、とんでもない食べ方だったのだろう。

ハレギオオコウモリがパンをもらっている 翌朝も小屋のオオコウモリを見に行く。ハレギオオコウモリが数頭。ここのオーナーと思われる男性が、小屋の掃除と餌をやっているところだった。餌は堅いビスケット風のパンだ。フランス領のオオコウモリはやはりパンが好きなようだ。

 チェックアウトして一時間ちょっとで空港へ。レンタカーを返そうと思ったのだがブースには誰もいない。ハーツの営業所に電話してみたら、入って右側に鍵を入れる箱がある。車は警備員にどこに止めたらいいか聞けという。とりあえず荷物をおろしていたら警備員が、そこに車を止めるなと言いたげな顔をしてちょうどこちらに向かってきた。レンタカーを返したいのだというと自分のパーキングカードを貸してくれて、どこに止めるかを手振りを交えて教えてくれた。

 せっかく海外に行っても日本語の通じるホテルと免税店とオプショナルツアー以外どこにも行こうとしない日本人観光客を、もったいないと思うけど、みんながフランス語しか話さなかったら、確かに私も様々な場面で立ち往生しただろう。

 空港売店でユーモラスなオオコウモリの切手を見つけた。オオコウモリのぬいぐるみもすごくユーモラスなものがあった。
 飛行機は成田経由パリ行きで、乗客はほとんどフランス人。8時間半の飛行の後、成田空港着陸。着陸してから空港の中を30分も飛行機は走った。ずいぶんと不便な空港だ。             The end

 

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