サモアのキリスト教

 ツツリア島のどんな小さな集落に行っても目に付くものは、前にあげた共用ファーレと、教会である。 サモアは植民地化されたときにキリスト教(主にプロテスタント)に帰依させられている。現在もほとんどの人は熱心な信者で、いろいろな宗派の人がいるらしく、各集落にはりっぱな教会が複数ある。
 日曜日には一家揃って教会へ出かける。ミサが終わる時間に車で走っていると、ドレスアップしておしゃれな帽子をかぶった人たちがでてくる。教会によっては(宗派によって?)ほとんどの人が白いドレスを着ているところもあるし、はなやかなプリントのロングドレスの人々が出てくることもある。赤毛のアンの世界だ。男性も白いラバラバ(長い巻きスカート状の服)で正装している。
 ちなみにこちらの男性のビジネス服は白いワイシャツに無地の灰色のラバラバである。このかっこうでブリーフケースを持ち、足もとはサンダルという姿を、官庁の集まっているパゴパゴ湾のあたりで見かけるが、なんとなく妙だ。 日曜日はほとんどのレストランは閉まっているし、食料品店もテイクアウトの食べ物の種類が少なくなるので、食事をするのに苦労する。
 戸外にたむろしておしゃべりしていたり、ピックアップトラックに乗って走り回っている人が多いのは、いつもと同じだ。(毎日が安息日みたいなものじゃないか)

 Saというのは「夕べの礼拝」とでも訳すのだろうか。オオコウモリを見に夕暮れ時外に出ていると、6時頃あちこちの集落から教会の鐘が鳴るのが聞こえてくる。最初の鐘は礼拝の準備をせよという合図で、仕事を止め、車も歩いている人も止まらなくてはいけない。5分くらいして再び鐘が鳴る。Saの始まりだ。人々は各家庭で礼拝を行う。15分ほどするとSaの終わりを告げる鐘が鳴り、やりかけの仕事が再開される。もっともパゴパゴ湾周辺の町中ではこのSaのルールは適用されないようだ。 Saの時間はオオコウモリタイムで、レインメーカー山麓の峠や、そこからパゴパゴ湾と反対側に降りた斜面にいるので、どの程度このSaの習慣が厳密に守られているのかはわからない。ただ、例のごとく荷台にたくさんの人を乗せて行き交うピックアップトラックは、Saの時間中も峠を行き来していた。

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