バリ倶楽部のツアー「タッチ」番外編

 ここから更に、普通のお客さんは行かないけどわれわれにとっては、いちばんの目的地、「ゴアラワ」というお寺にいく。

 ゴアラワもまたヒンズー教のお寺で、観光地でもあるけど同時にバリ島の人の信仰の場所でもある。ゴワは洞窟、ラワは小型コウモリの意味で、境内の祭壇の後ろにコウモリがねぐらをとる洞窟がある。事前の情報では、ここにいるのはオオコウモリの仲間で洞窟入り口に生息する数少ない仲間、ヨアケオオコウモリのはずだった。
 たどり着いたのは夕方5時前。サロンを巻いて境内に入る。観光客は4000ルピアを払う。正式にはサロンの上にスレンダンという帯のようなものをする必要があるのだが、受付で貸してくれる。

ゴワラワ寺院の入り口 ヒンズー教のお寺の特徴、割れ門があり、11重の塔などがある。奥には祭壇がありお供えを捧げたりお祈りをする人が時々出入りする。更に階段を何段か登った洞窟の入り口に祭壇がある。洞窟の中はもちろん入り口の壁にもぎっしり小型オオコウモリがひしめき合い、「ツン、ツン、ツン」という高い声で鳴いている。交尾しようとしているもの、お母さんにくっついた子供、お母さんの腹にぶら下がったまま翼をはためかせて飛ぶ練習をしているものなど、大騒ぎである。


オオコウモリを捕まえたニシキヘビ ふと気がつくとアミメニシキヘビが、オオコウモリの群れからそんなに遠くない洞窟の壁に張りついてずるずる動いている。ヘビの体のぐるっと丸くなった部分に、コウモリが2頭巻き込まれている。どうやらすでに絞め殺されてしまったようだ。しばらくずるずると動いて丸くなった体をほどくと、ニシキヘビは1頭のコウモリを口にくわた。しばらく顔を上に向けたり下を向けたりしてもごもごした後に、コウモリを丸飲みにした。もう1頭は食べずに下に落として、ゆっくりと洞窟の上の闇に消えていった。ニシキヘビの体の膨らんだ部分が少しずつ後ろに動いていく。こうやって時々食べ放題にくるのだろう。


 17時35分、明るさから判断して洞窟からの飛び立ちにはまだ1時間以上ありそうなので、車ですぐ近くの海沿いの屋台にいってバクソーというヌードルを食べる。しょうゆ味?のスープに春雨と野菜とお米をついたものが入っている。バクソー籠田さんのホームステイ先のお母さんがとうもろこしの屋台を出していた。バターやとうがらしの辛いたれをかけて焼いてある。

 18時30分に戻ったときはまだ洞窟に変化はなかったが、10分ほどで洞窟の入り口をオオコウモリが飛び交うようになってきた。外はだいぶ薄暗く18時45分頃からポツン、ポツンと飛び出し始める。洞窟のある斜面を上へ飛んでいくものもいるが、また洞窟に戻ってきてしまうものもいる。18時55分頃から怒濤のようにコウモリの群れが飛び出すようになる。入り口から出ると左右に分かれて、それざおれ背後の斜面に沿って飛んでいく。斜面には木や下生えが茂っているので、飛んでいく様子は今ひとつ見づらい。19時頃になると、祭壇のある中庭の上空を旋回するのもでてきて、やっと空をバックに飛ぶようになったが、もう真っ暗だ。

 19時20分、飛び出しは終わったが、洞窟の入り口の壁にはオオコウモリがたくさん残ったままだ。どうやら残っているのは子供のようだ。まだ遠くに採餌にいくほど飛翔できないが、母親にぶら下がって出かけるには重すぎる年頃なのだろう。

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