バナナの花に来るシタナガフルーツコウモリとセレベルスーセットオオコウモリ

12月8日 朝4時に起きてみた。いちばん上のコテージはスタッフの一人が住んでいて、窓にぶつかったという文鳥を飼っている。テラスにぶら下げられたかごで寝ている文鳥は、われわれが夜の観察をすると迷惑そうに羽の中から嘴をだして起きることがあるのだが、この夜は止まり木にとまってなかった。このところそのスタッフの顔を見ないので、実家に帰っている間に力尽きたのかと心配したが、床で寝ているだけのようだ。文鳥の自然分布はジャワ島だけだが、移入されたのだろう。畑のトウモロコシを食べる害鳥だといっていた。大型オオコウモリがコテージ裏の木に来ているが、相変わらず見るのは難しい。

午後は雷が盛んに光っているが、幸いにして雨は降らないので、2番目の洞窟にもう一度行ってみた。セレベスルーセットオオコウモリ10頭+とグールドカグラコウモリは今回は3頭いた。

お茶の後、昨日のバナナの花に行ってみる。このところわれわれのコテージのベランダには宿の白犬の3匹がいついてしまって、長いすに寝そべっているときさえある。ドアマットの上で寝ていることもあって、ドアを開けたらぶつかったらしく飛び退いたこともある。そのうちの2頭がついてきてしまって、村の人が見ているのに、畑の中で放し飼いになっている豚を追い回すので、はらはらする。畑にはマンゴーやジャックフルーツの実が落ちていて、豚が食べているのだ。日没時間くらいにスンダガラスCorvus encaが猫のような声で盛んに鳴きながら飛ぶ。

夕食時、各テーブルに置かれているオリーブオイルと対になっているドレッシング入れにはバルサミコ酢が入っているべきなのだが、すべて醤油であることが判明した。どちらもなじみのないスタッフには、どっちでもいいことだったのだろう。もっとも和風ドレッシングになれているわれわれは、まったく違和感を感じずにサラダにかけていた。

夕食後もバナナの花に来るシタナガフルーツコウモリを撮影する。時々大型オオコウモリの声がして、どこかで交尾の声もする。

12月9日 ブナケンチャチャネイチャーリゾートは海に面していて、周囲にはまったく家もお店もないし、車のアクセスもできないので、すべて海を越えたスラウェシ島のマナドなどから日用品も燃料も購入して、船で運ぶことになる。毎日お客さん以外にも、日用品、食料、ガスボンベ、船の燃料など大量の荷物が運び込まれる。桟橋がないので最後は浅い海の中を歩きながら人力で荷揚げをする。今日は、改築中の資材の製材を運び込んでいるが、満潮で船が海岸近くまで入れ、どんどん海に板を放り投げ、何人かで拾い集めて荷揚げをしている。投げる人と拾い集める人のタイミングが合わず、潮で流されそうになるので、泳いで集めている。

シタナガフルーツコウモリ(左)とセレベスルーセットオオコウモリ(右)バナナの雄花は通常、毎晩一枚ずつ包葉がめくれあがって、その下のおしべと花蜜が露出するのだが、今夜は2枚の包葉が開いた。そのせいかシタナガフルーツコウモリも2頭やってきて、追いかけっこをしたりして活発だ。セレベスルーセットオオコウモリも2度来た。

ルーセットオオコウモリも、日本やオーストラリアでよく見るオオコウモリ属のオオコウモリなどと比べると、小柄で身軽に飛ぶのだが、オオコウモリ科最小のシタナガフルーツコウモリと比べると、バタバタと音を立てて不器用そうにやって来て、どすん!という感じでバナナの花にとりつく。電池で動くパタパタコウモリというおもちゃを連想した。

前のページへ次のページへ

ブナケン島旅行記目次

世界オオコウモリ旅行の目次へ戻る