4 島の成人式
 8時15分、今日はこの集落センタ−で島の成人式があるので準備が始まるらしくオ−トバイや軽トラックが続々集まってくる。何頭か飛んでいったがまだ寝ているオオコウモリがいる。結局最後の一頭が飛んでいったのは、われわれが宿に食事にいって再び戻ってきた後の、9時半であった。こいつは最後の最後までガジュマルを食べていた。今夜は雨が降りそうだから食いだめしていったのだろうか。
 1時半から島の成人式である。朝から島の人達が机を並べたり垂れ幕をかけたり、庭の花を持ち寄ったりして祝賀会の準備がなされ、これまた石垣から高速船で来たにちがいない折り詰めのセットに八重泉という泡盛の小瓶が参列者に配られている。会場に招待されているのは新成人の家族なのだろうか。ガラス張りのセンタ−の外からのぞきこんでいる人達もたくさんいる。人口600人ちょっとでは島全体が知り合いだろうから、久し振りに帰ってきた○○さんちの息子や××さんちの娘の晴れ姿を見たい人もたくさんいるのだろう。よそ者のわれわれも一緒に会場をのぞかせてもらった。新成人が舞台であいさつをしているところだった。女性5人男性4人である。歌が入り、踊りが入り、4時前に祝賀会はお開きとなった。波照間島の属する竹富町は、有人島を9つもかかえているから、町議会議員や教育委員会などの来賓は今日中に石垣島に帰り、明日は別の島の成人式に行かなければならなくて忙しいのだろう。
 さて、今夜は風が非常に強くオオコウモリの嫌いな天気である。しかしここのオオコウモリは低い所を飛んで姿を見せてくれた。止まっている時は、けっこう枝の先端で大きく風に揺られている。さすがに飛び回るのはいつもより少ない。ガジュマルのペリットを持って帰り、種の数を数えて見た。約500個である。ちなみにガジュマルの一粒の実には100−200個の種があったから、今朝ほど観察したように一度に4つくらいの実を口にいれる、というのと話があう。もちろん糞のほうにも種がはいるから、その分は差し引かなければならないが、何口分で1回の糞になるのかわからないし、それほどたくさんはいっているわけではないので、今の計算の精度では無視してよさそうだ。
 1月4日も朝集落センタ−の前のガジュマルで観察したが、本日は最後のオオコウモリが帰ったのが7時18分、最初のカラスが来たのが7時22分、いつも遭遇しているわけではないようだ。
 この日9時50分発の高速船で我々も石垣島へと引きあげた。行きの海は静かだったが、帰りは相当荒れている。座席に座って脇の荷物がどこかへとんでいかないように押さえる手に力がはいるが、船が上下動する度に自分も荷物といっしょにピョンピョン跳ねてしまうからあまり意味はない。無重力状態をたっぷり体験させてくれた。港でトラベルミンのばら売り一粒67円を買って飲んでおいてよかった。
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