雨の日のオオコウモリ   

 沖縄は連休中に既に梅雨入りしたので、けっこう降られた。しとしとした雨ではなく、亜熱帯らしく、雷が鳴り強風が吹き傘が役に立たないような大雨が十数分続いては晴れ間が出るという繰り返しが一日中の日もあった。しかし夜は滞在中の3晩とも雨が上がって、子連れオオコウモリをしっかり観察できたのは、日頃の心がけがいいせいかな
 日中、港の方まで歩いていって帰ってくる途中、森でオオコウモリが鳴き交わす声がした。あいにく姿は見られないし、近づけないところであったが昼間もけっこう起きているようだ。その道をずっと進んでいくとにわかに向こうの空が暗くなって、前方がぼーとかすんできた。スコールは近づいてくるのが目で見える。ちなみに別名シャワーともいうが、水の豊かでない熱帯の島では、シャワーが来ると石鹸をもって待ちかまえて体を洗うという話を本で読んだことがある(サイパンの話だったと思う)。しかしマリアナ諸島のシャワーはほんの100mほどの範囲で通過するから、車で走っていると土砂降りの雨がぴたっとやんで晴れている区域に入ることがある。判断を誤ると石鹸を塗ったら、シャワーがなかったということになったりして。
 さてスコールがまっすぐ来そうなときは、雨宿りする場所の目安をつけておいた方がいい。ちょうどその時いた場所は人家が全然ないところではあったが、牛小屋があったので入らせてもらう。ちなみに主はすぐ近くの囲いにいたが、自分の家に他人が入り込むのを、雨の中で濡れながらじーっと見ていた。
 けっこう長く降り続き、20分くらい牛小屋に閉じこめられていただろうか。雷が鳴り、空が真っ暗になり、どしゃぶりですぐ向こうもかすんで見えるような中を、なぜかオオコウモリが一頭飛んでいった。林から飛び出して放牧地を横切り、別の林に入った。雨の日はオオコウモリは飛ばないと思って夜の観察もしていなかったが、洞くつや樹洞に入らないオオコウモリの場合、雨宿りったって野外にいるわけだから、全然活動しないわけではないのだろう。

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