La roussette 1 森林公園

 8時間ちょっとのフライトの末、飛行機はトントゥータ国際空港へ着陸した。現地時間は日本より2時間進んでいる。

 最初の晩だけ首都のヌーメアに滞在するつもりだったので、例によって日本人の来ないような安いホテルにインターネットで予約したのだが、ホテルで予約してもらった送迎バスが日本人の団体さんと一緒だったのでなぜか日本語のガイド付きである。バスはヌーメアの近くにある国内空港でフランス人をおろしたあと他の日本人はアンスバータという日本人向けリゾートホテルの多い地域でガイドさんも含めて次々と降りていった。やがて我々だけ乗せたバスは営業所にとまり、運転手はそこにある小型の乗用車に乗り換えろという動作をした。まったく役に立たない即席勉強のフランス語だがvoiture(車)だけ聞き取れた。われわれのとまるホテルは町中のごみごみした地域にあるので、大きなバスでは不便なのだろう。後ほどレンタカーを借りて改めて七転八倒するのだが、ニューカレドニアのメインランド、グランテール島中をオオコウモリ情報に振り回されてほとんど端から端まで走り回ったわれわれに、レンタカーは必需品だったものの、ヌーメアの町中は一方通行が多く、交差点は複数車線のロータリーになっていて迷っているうちに曲がるところを通り過ぎてしまうし、かなり運転しづらい。

 ホテルに荷物を置いて、まずは町中探検も兼ねて2.5q先の森林公園へと向かう。世界中どこにもいるイエスズメとカノコバト、真っ赤なくちばしと過眼線をして庭に群れているのはオナガカエデチョウ、賑やかに庭の木々で鳴いているのはニューカレドニアミツスイ。道は市街地を出て小高い丘陵地帯へと入る。丘の上に立つのは観音様・・・かと思ったら巨大なマリア像だった。道は埃っぽく単調だ。シロハラアナツバメが道路を低く飛び交う。上昇気流に乗ってモリツバメの群れも飛んでいる。道路脇のギンネムの木々にはハイムネメジロが群でやってくる。やっとたどり着いたのは午後1時、宿を出たのは11時だったので、途中鳥見をしながらとはいえ、2.5km以上あったと思う。

 とりあえず遅い昼食を入り口の売店ですましてから、入場する。森林公園の半分は動物園、半分は植物園である。動物園の方に向かう。ニューカレドニアのシンボル、飛べない鳥カグーが何羽か飼育されている。カレドニアカラスも一羽いる。8月の中頃の朝日新聞に、小枝を使って虫をつつき出す道具を使うカラスとして紹介されていたのだが、この動物園のカレドニアカラスは退屈なのか、小枝をくわれて檻の手前にやってきて盛んにわれわれに「遊ぼうよ」ってな動作をして見せる。われわれも小枝を差し出して見ると、自分の小枝を使ってわれわれの差し出す小枝を檻に取り込もうとする。しばらくこのひょうきんなカラスと遊ぶ。

トンガオオコウモリとハレギオオコウモリはよく似ている 学名はハレギオオコウモリなのに和名の掲示はトンガオオコウモリトンガオオコウモリが10頭いる檻があった。檻は二つの部分に分かれているが表示はどちらもトンガオオコウモリである。オオコウモリの餌のカットフルーツを食べにもう一種のメジロgreen-backed white-eyeが盛んに檻に出入りしている。別の檻に真っ黒で小型のニューカレドニアオオコウモリも3頭いた。

 入り口に戻って受付にいたお兄さんと話してみた。幸いに英語が通じる。ここ、グランテール島にもオオコウモリはいるけど探すのが難しいこと、ウベアやリフー島(どちらも近くの小さな島)の方がいっぱいいるよとのことだ。ここの動物園にはオオコウモリが3種いるというので「三種?二種しか見なかったけど。」と聞き返したが、三種だと繰り返して言うのでもういちどオオコウモリの檻を見に引き返してみた。トンガオオコウモリの入っている檻は二つに分かれていて、日本語の表示はどちらもトンガオオコウモリになっているので惑わされたけど、英語と学名の表示を見ると、片方はハレギオオコウモリという別種であった。うーん、なまじ日本語の表示がついているので(おまけに間違っているので)騙された。おまけに両者はよく似ているし。結局檻にいるのはハレギオオコウモリが8頭とトンガオオコウモリ2頭だった。

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