La roussette 6 カグー

 敷地内のヤシの木がたくさんあるし、ひょっとしてオオコウモリが来ないかと期待したのだが、風の音とヤシの葉がバンガローの屋根にあたる音が大きく響くだけだ。レストランはシーフードで有名ならしく華やかにライトがついてお客さんがたくさんきているが、せっかく不釣り合いなくらい立派なバンガローに泊まったのでスーパーで食材を仕入れて自炊することにした。

 翌朝7時に起きてもフロントもレストランもまだやってないので、車で近くのパン屋に行く。パイ生地の間にカステラが挟まってアーモンドスライスをのせた甘いパンとミニクロワッサンはどちらもおいしい。朝から人気があるようで次々お客さんが訪れる。フランスパンにいくつか種類があるが、たぶんみんな自分のこだわりがあるのだろう。触ってみて確かめてから買っている人もいる。

シロハラアナツバメ チェックアウトして今日もリビエールブルー州立公園に向かう。車で20分ほど入ったところに湖があるのだが、この周辺は低木が多く赤い穂状の花が咲いている。蜜が多いのかギンミミミツスイを始めとした様々な鳥たちがやってくる。シロハラアナツバメが湖畔を飛び交う。
 再び大カオリ松の駐車場に車を止めて遊歩道を歩く。カレドニアガラスが2羽、小枝を加えて森の上の方にいる。オオミカドバトやハイイロオウギビタキ、Green-backed white-eyeなど鳥影が多い。カレドニアハゲミツスイは、オーストラリアで見た近縁のヘルメットハゲミツスイと同じように騒々しく大きな声で叫んでいる。

 今日はカグーが二羽姿をあらわした。最初一羽だけが歩道沿いにじっとたたずんでいた。一緒に見ていた家族連れの子供がすぐ近くまで行ってリンゴのかけらを投げてもびくっとしただけで全然動じない。何人かが歩道を通って写真を撮って通り過ぎたけど全然動じない。そのうちシャーという声を出して冠羽を逆立て翼を広げて尾羽を立てた。何事かと思っていたらもう一羽カグーがクゥクゥと鳴きながら駆け寄ってきた。二羽は時々ディスプレイしながらゆっくり移動していく。その合間にも落ち葉をひっくり返してはミミズを食べている。この二羽はたっぷり30分ほど遊歩道沿いをゆっくり移動して、サービスしてくれた。途中日本語と英語を交えて喋るガイドに連れられた7−8人の日本人グループとすれ違った。
リビエールブルー州立公園の湖 この辺から奥は熱帯雨林がよく保存されている レンジャーと話してみたが、オオコウモリはここリビエールブルーではかなり奥の方にしかいないので、見るのは難しいという。この州立公園の更に先にあるヤテの海岸では夕暮れに飛ぶということだが、はっきりポイントがわかっていないし、ガイドブックによればヤテは英語がほとんど通じないと言うことなのでこれもパス。北部のヤンゲンというところにある地中海クラブではホテルのすぐ近くにオオコウモリがいるという。ホテルの敷地内に岩山があって、昼間でもオオコウモリが出入りしているのが見られるという。これが一番確実そうだが、ヤンゲンはここから400kmくらいある。現在いるのがグランテーレ島の南端近くだから、細長いこの島をほぼ端から端まで移動しなければならない。おまけに道路の関係で現在東海岸よりにいるのに、いったん西海岸にでて北上し、途中で中央部の山岳地帯を再び横切らなければならない。考えただけで気が遠くなりそうな距離だが、残念ながらなんの手がかりもないままやってきたので、これで野生のオオコウモリを全く見られずに帰るのは残念である。オオコウモリがもっといるという離島へ行くことも考えたが、リフー島などはかなり大きいから一泊で出かけて闇雲に歩き回っても見られる可能性が少ない。今一番場所が特定されている地中海クラブにいくしかないということで、電話で予約をして、とりあえずは今夜は少しでも北に近づくためにヌーメアのあたりまでいくことにした。

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