蚊と蟻に攻められて

コウモリがいた木 斜面を迷いながら行きつ戻りつしたあげく、やっとくだんの木のすぐ近くまでたどり着いた。しかしいきなり木に近づきすぎたらしく、止まっていたオオコウモリはキャーキャー鳴きながら飛び立ってしまった。同じ木の下の方の枝にいた、白と茶色のくっきりしたシロガシラトビだけが残る。

 じっとしていると蚊がわんさかと集まってくる。マラリア流行地帯だから刺されたくないのだが、追っても追ってもきりがない。首筋がチクッとしたのであわてて手で触ってみると何かが首に食い込んでいる。どうやらオーストラリアでもよく見たTree antのようだ。あわてて放り出す。

 オイスカの研修生たちは自分たちの言葉でおしゃべりしながら、ビンロウをひっきりなしに噛んでいる。

 30分ほど待っていたが、時々様子を見に来る個体がいるのだが木に止まってくれない。研修生たちをいつまでも引き留めておくわけにもいかないので、帰ることにする。帰り道にブッシュの中で、運転手の研修生が芽の出た小さな椰子のようなものを見つけて、夢中で掘って集め始めた。我々の顔を見て"beatle nuts"だと説明してくれる。つまり彼らの嗜好品ビンロウだ。ここは私有地のような気がするが、そういうことは気にしないのだろう。

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