国立公園のようす

 めったにお客さんの来ない国立公園なので、自然観察路も一つしかない。パゴパゴ湾の後方の尾根を通り、標高491mのアラヴァ山山頂(かつてロープウェイの駅があったところ)へ至る道である。ここから反対側のVatiaの集落に降りる道もあるがは踏み跡程度である。


 乾期といってもスコールが毎日のように降るせいか、道がぬかるんで歩きにくい。4WDの車でできた深い轍にはおたまじゃくしがいる。前に書いたように下の缶詰工場のせいで、稜線を歩いているのに生臭い。時々オオコウモリが頭上を通過する。熱帯は昼間歩き回るには向いていないことを実感、ひたすら暑い。
 目の下にパゴパゴ湾が見える。パゴパゴ湾は、ツツイラ島が正式にアメリカの植民地となる前から、アメリカが捕鯨の補給基地として使っていたくらいの良港だが、岸近くはかなり浅瀬になっている。座礁した船が点々と10隻近く見える。
 頂上には屋根が破れたぼろぼろの東屋がある。国立公園ができたときに自然観察路や東屋をつくって、それっきりと見える。

 降りていく途中、国立公園の職員が二人、トロッコのような物に乗って登っていくのにすれ違った。さらにしばらく行くと、この二人がUターンして帰って来るのに追いつかれ、「乗っていくか?」と聞かれたが、荷台は乗り心地が悪そうだったので遠慮した。

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