最後の夜 ニューサウスウェールズ旅行記 20

町中にあったオオコウモリのデザイン宿が決まったのでベーリンジェンに戻り、河原で食事をしながら夕暮れを待つ。今日はTake awayのフィッシュ・アンド・チップス他。

頭が白くて胸がバラ色の中型インコが川の畔の大木にたくさんとまって騒がしく鳴いている。その名もモモイロインコ。大きな真っ黒のインコが数羽飛んでいく。キミミクロオウムだろうか。

そろそろ暗くなってきたので川に向かってカメラをセットし、ふと振り返ったら、直ぐ後ろをヒメクイナがトコトコと歩いて通り過ぎた。

7時50分、向こうの方でオオコウモリが飛び込み始める。島から対岸のイチジク科の木にまっすぐ向かうやつが多く、なかなかわれわれのいる方には来ない。

8時10分、だいぶ近くで飛び込むようになってきたので、シャッターを切る。Vivienさんが姿を現した。次々飛び込むオオコウモリを見て、雨の次の日にこんなに飛び込むのは初めて見たという。ベーリンジェン島は水が氾濫したあとがあるので聞いてみたら、洪水の時は土手の上まで水が来て橋も渡れなくなるそうだ。Vivienさんの住んでいる側は、裏道を通ってコフスハーバーの町へいくことができるが、ベーリンジェンの町側は陸の孤島になるという。天気予報では、明日はもっと暑くなるので、更にたくさん水を飲む姿が見られるだろう。もしこのあたりにいるならカヌーに乗せて上げるといわれたけど、明日はシドニーに向かわないと、あさっての朝の飛行機に乗るのに不安である。また、シドニーの王立植物園にはオオコウモリのコロニーがあることがわかっており、せっかくだから大都会のオオコウモリも見てみたい。ということで、たぶん明日は来ないだろうと断る。

この季節だと、赤ちゃんコウモリはもう連れていかずにコロニーでお留守番で、寝ていることが多いけど11時頃結構飛び回るという。低いところにもとまっていて、夜空を背景にするのでよくわかるし、島に入ってもそんなに驚かすことはないから大丈夫、とVivienさんから聞いたので、いってみた。

寝ている子を一頭見つけた。目を覚ましてこちらを見ているようだ。他にも声はあちこちからするが、結構木の奥の方に入っているのか、見えない。朝になったらあの子は「おかあさーん、昨日変な人が来て怖かったよ」といってるだろうか。

大晦日である。対岸のベーリンジェンの町ではBarで年越しパーティでもやっているのか大音響で音楽が鳴り人が出入りしている。バックパッカーの宿も賑やかだ。近くのイチジク科の木ではオオコウモリも年越しの宴会をしているようだ。小さな田舎町の2001年の大晦日は、賑やかに更けていった。

帰国してからシドニー出身の人と話していたら、ベーリンジェンはヒッピーの町だと言っていた。オーストラリアをドライブするとどこでも見かける小さな美しい退屈な町のつなのだが、クラフトのお店やギャラリーも結構あるので、そういう人たちの集まる町でもあったのだろうか。

せっかくだからオオコウモリのキャンプ場に泊まってみたかったし、もっとじっくり水を飲むオオコウモリの写真を撮りたかったが、時間切れである。いつか再びベーリンジェンに来ることがあるだろうか。 

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