初めての台湾旅行

 羽田から海外に飛び立ったのは初めてである。モノレールの終点からさらに路線バスに乗って国際線ビルへと行くとは知らなかった。このバスが、普通に都内のバス料金210円を取るのは納得できない。これなら成田エクスプレスで成田に行った方が我が家から乗り換え一回だけだからかえって楽だし、時間的にも大差ないし羽田から行けるメリットはあまりない。
 離陸後台北の蒋介石国際空港までは3時間10分、沖縄へ行くのとたいして変わらない所要時間である。

 入国手続きは、何語でするのだろうか、旅行の目的なんて中国語で聞かれたら筆談しかないと思っていたのだが、無言で書類を見ただけだった。台北は、曇り、日本とは一時間の時差があるので時計を戻す。 ロビーで荷物を受け取り両替をする。1円=0.266元つまり一元は約3.7円である。紙幣もコインも日本のものより大きくて財布が膨らむ。
 東部へ直行するので、国内線が発着する松山機場へバスで向かう。バスの切符は空港ロビーに出てすぐ左側の窓口で「タイペイエアポート、リムジン」といったら買えた。ここから先は何語が通じるのだろうか。英語圏以外の海外旅行は初めてである。中国語もできないのに初めての台湾旅行でいきなり台北を通過して東側の小さな島、緑島に行こうというのだ。それも台東から先は宿も飛行機も予約していない。はたして今夜は緑島にたどりついているだろうか。胸のポケットに突っ込んであるメモ用紙と鉛筆での筆談が頼りである。
 高速道路の両側は青々とした田圃が広がる。アマサギがたたずみ曇り空にツバメが飛び交う風景は日本と同じだが、丘の常緑樹の木々は緑が濃く、道路脇にモクマオウが生える景色は沖縄に似ている。都市部を通ると鉄筋のアパートが建ち並ぶ。ベランダや窓に鉄格子がはまっているのは、泥棒よけだそうだが、ドバトよけに日本にも導入したらいいかもしれない。
 1時間弱で到着した松山機場では中国語が飛び交う。こちらの人は日本人みたいに団体旅行をけっこうするようで、赤い帽子をかぶった集団と黄色い帽子の集団がいるのは会社の視察旅行だろうか。いくつもある航空会社のカウンターの前は、誰も整列などしてなくて、ごちゃごちゃ。人混みの隙をついて搭乗手続きをしなければならない。弱気で遠慮などしていると、いつまでたっても相手にしてもらえないだろう。幸いにして搭乗手続きは日本語が少々通じる。
 お昼を過ぎたことだし時間があるので、コーヒースタンドと立ち食いそばを合わせたような所で食事をする。筆談で肉まん20元と牛肉麺20元、ホットココア50元をたのむ。もっともアイスコーヒーと言ってみたらちゃんと通じたから、英語?でもいいようだ。セルフサービスのお弁当屋には日風寿司とかいてあって、太巻き、にぎり風の寿司、手巻き寿司もある。
 満席なのは高雄行きくらいだった。台東行き遠航079便14:10発は、乗車率は50%ほど。ただし滑走路は混んでいて、離陸したのは14:30。この松山機場は台北の街に接していて、離陸待ちのの飛行機の列のすぐそばにお店が並んでいるのが見える。うるさくないのだろうか。
 機内ではパックの100%ジュースかコーヒーがお茶菓子と共にでたのだが、スチュワーデスは中国語しか話さないので、珈琲しか聞き取れなかった。ジュースが欲しかったのに・・・。台湾全土が曇りで、飛行機はよく揺れる。
 台東空港は山が迫る狭い平野にあり海から進入する。小さなローカル空港で出口に向かう通路の脇で手荷物を受け渡している。いかにも関係者以外立入禁止みたいなドアが開いていて、そこで直接トラックから荷物を受け取るようになっている。行きすぎてから荷物はどこだ、どこだと探しながらもどって見つけた。危うく見落とすところだった。
 ここから先は、航空券を頼んだ日本の旅行会社では予約ができなかった。飛行機はたくさん便数があるし、そんな離島どうせがらがらだから大丈夫、という話を信じてまあなんとかなるだろうと、ここまでやってきたのである。
 16時発の緑島行きの飛行機があるはずなのだが、どういうわけか、遠東航空はもうフライトが無いという。立榮航空はフライトがキャンセルだという。あとでわかったのだが、立榮航空は4月1日から5月31日まで機体検査のため飛行していなかったのだ。本来一日6便飛んでいるのだから、これは大きい。日本語の通じるお兄さんがわれわれの会話を聞いて國華航空のカウンターで聞いてくれたのだが、こちらも緑島行きは今日はもうないとのこと。

 呆然。この先が思いやられる。

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