世界最大のジャワオオコウモリは褐色で吻が長くて顔が細く耳がオオコウモリにしては大きくつきだしている。ヒメオオコウモリは背中まで一様に灰色で、後頭部は茶色。もう一種、顔が白っぽくて丸顔の大型のがいるような気もするが、はっきりしない。距離は近いのだが、茂った樹冠にとまっているので、晴れていても見にくい。
Plau lalangは長径500m、短径200mくらいの小さな島だ。この長軸の真ん中へんの砂浜から上陸すると、ジャングルの中を狭い踏みあとが短軸の半分くらいまで通っている。オオコウモリのコロニーはこの道沿いにあるのだが、道は島の中程でなくなってしまう。
島の向こう側はどうなっているのだろうかと、写真を撮っている夫を置いて薮こぎをしてみた。中心部が少し小高くなっていてそのピークを過ぎると、向こう斜面は結構急激に海に落ち込んでいる。オオコウモリは断続的にいるものの、それほど多くないようなので、引き返す。ほんの数十メートルジャングルを薮こぎしただけのはずなのだが、帰ろうとしてみると、目印が何もなく見晴らしもきかないジャングルでは、正しい方向に向かっているのか自信がない。だいたい、かなり蔓植物が生い茂っていて木が行く手を塞いでいるので、ここまでまっすぐ歩いてきたわけではない。びっしり茂った蔓をかきわけ、葉についた雨水でびしょぬれになりながら、必至で前進する。とりあえずひたすら降りていけば、上陸した側の海岸にでるはずだが、もし潮が満ちていると砂浜がなくなるので、海岸沿いに上陸地まで歩いてゆけない。
悲観的になりながらトゲのある蔓と格闘して薮の中でもがいていると、天の助け、進行方向から少々横にずれた前方に自分の三脚が見えた。荷物もある。夫が、どこにいってたんだという顔で見ている。冷や汗。
無人島だから万が一手違いがあって迎えが来ないと、全くお手上げである。そのため水をたくさん持って行ったのだが、森の中は湿度が非常に高く、暑いのに喉が渇かない。オオコウモリにとってはいい環境である。海岸まで来ると急に空気が乾燥する。砂浜にはオオトカゲの歩いた跡があった。鳥は頭の茶色いムシクイと白黒のシキチョウを見ただけである。あのオオコウモリコロニーの騒音に圧倒されているのだろうか。
海岸には2隻のボートが停泊し、浜辺で泳いでいる子どもたちがいる。ツアーの途中なのだろう。
上陸地点
真っ正面に踏みあとがあり、数メートルも入るとオオコウモリがとまっている。