お洗濯は楽しいイベント

 滞在中のある夜9時過ぎに、コインランドリーへ行った。全自動洗濯機が30台並んだ大きなコインランドリーだった。
 先客は、乾燥機をまだいくつか動かしながら乾燥の終わった洗濯物をたたんでいる女性、これはあとで旦那さんらしき人が迎えに来た。男の子二人に手伝わせている大柄なお母さんは洗濯機10個ほどを占領している。そしてもう一組、よちよち歩きのチビさんまで連れて7人、年齢構成と様子からして、若い二十歳くらいのお母さんと、その子供達と、お母さんの姉妹?とお祖母さんだろうか。大量の洗濯物を仕訳しながら洗濯機に放り込んでいる途中だった。いちばん小さいよちよち歩きのチビさん以外、みんな実によく働く。
 洗濯機にナンバーがついていて、この7人連れが16番あたりから着々と大量の洗濯物を入れているので、29番をわれわれは使わせてもらった。なんとなく端から二番目にしてしまった。 ところがである。彼らの洗濯物の量は半端ではなく、黒いゴミ袋にいくつもいくつも詰め込んできたものを車からワゴンに乗せて出してきて、かたっぱしから洗濯機に放り込み、先ほどの10台使用していた3人連れが洗濯を終わって乾燥機に移動したあとも使って、なんと計27台もの洗濯機を占領したのだ。華やかなラバラバが次々出てくる様はなかなか壮観だった。29番などという半端なところを使っていたわれわれは、当然この一家の大洗濯の間に入ってしまった。
 コインランドリーの片隅では、飲み物やスナック菓子を売っている。大量の洗濯機が回り始めると、一家はポップコーンやジュースを買って休憩である。乾燥機を回している親子3人組もおやつタイムである。洗濯物をたたむテーブルの上でチビさんを遊ばせて、ポップコーンだらけにしている。洗濯物がポップコーンの油で汚れるのだが。
 洗濯が順次終了するとおやつタイムも終わり、またまた小さな子供達も含めて総出で乾燥機へと往復してみんなよく働く。
 洗濯機一台分にも満たない、われわれのささやかな洗濯物は、既に乾燥が終わったので、そこまでしか見ていない。 ちなみにこのお母さんは、その後対岸の山を越えたVatiaの集落で見かけた(たぶん)。わざわざパゴパゴまで一家の女性総出で洗濯に来ておやつを買ってもらえるお洗濯は、楽しいイベントと見えた。

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