2 にぎり寿司とおかず
 1月1日は最南端のこの島でも当然元旦であるが、どこかから宴会の音がきこえてくるくらいで特に変わったこともなかった。せっかくだから最南端の碑とやらまでサイクリングしてみた。未舗装の道路が多いのと、潮風でさびやすいのとで、快適な自転車がない。もっとも、調子のいい自転車では、簡単に島じゅうまわれてつまらない、というのは半分負け惜しみ。最南端の碑自体は、素朴でめだたない石碑だったが、最南端平和の碑だの最南端の森とかいう新しい立派な石碑もいろいろ立っていて、勘違いして記念撮影をして帰ってまう人もいるのではないか。この近くには日本全国から持ち寄った石でつくられたという蛇が絡まる形の道などなどもゴチャゴチャとつくられていた。星空観測センタ−というのがあり、南十字星を見たかったのだが正月休みで休館中であった。
 昨日の遊水池もまた行った。裏の一段と低い所にもう一つ水溜まりがあって、コガモが20羽ほどとカルガモ2羽、セイタカシギ2羽、バン、ハマシギ、コチドリなどがたたずんでいた。 
 元旦の宿の夕食は、握り寿司とおかずの大きな盛り合わせを、滞在客に各自におすそわけしてくれた。この島に仕出し屋があるとは思えないのできっと石垣島のお店から高速船に乗って運ばれてきたのだろう。当然ひとりひとりの客の小皿に盛られたお寿司やおかずの組み合わせが違うのも楽しい。
 今夜も近くでオオコウモリを見る。また交尾らしき行動が見られた。冬はオオコウモリの結婚シ−ズンだ。
 オオコウモリを観察しに各地の離島を訪れた時には、夜の学校の校庭を捜すと観察できることが多い。適度に開けた校庭という空間があり、照明があるので、有視界飛行をするオオコウモリにとって活動しやすいのだろう。ここのオオコウモリも学校が好きなようだ。島唯一の小中学校で校庭のガジュマルの木にぶら下がったり、校庭の上を飛びまわるのを観察した。校庭では里帰りしたのか高校生が数人夜遅くまで大声でおしゃべりに興じていた。オオコウモリみたいなやつらだ。

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