1 セイシェルの雨期ははんぱじゃない

  セイシェルには日本から直行便はない。まずは日本からシンガポールまで7時間ほど。ここからセイシェルへの便が週1あるのだが、セイシェル航空の乗務員は、みんな免税品を持って乗り込む。シンガポールへ出たついでにおみやげを買い込んだと言うところか。

 シンガポールからセイシェルも約7時間。インド洋を飛ぶ小さいジェット機はよく揺れた。最初から最後までほとんどシートベルトサインがつきっぱなしである。ついたのは現地の早朝3時15分、まだ真っ暗である。タラップを降りたら土砂降りの雨。セイシェルは雨期の最中である。

 飛行機には他にも何組か日本人がいたのだが、他の人たちはリゾートホテルへ。われわれが泊まった宿は、空港のあるマヘ島の中心街ビクトリアから、峠を越えて4kmほどいったところにある。このあたりはリゾートホテルがぽつんぽつんと建っているが、われわれのは日本人観光客の泊まらない安いモーテル風である。

 さて朝ご飯を食べてレンタカーを借りようとしてはたと困惑、リゾート地であるこの島は、キャンバストップのドアのないMOKEという車がたくさんあるのだが、通常の車は予約でいっぱいだという。宿の人や旅行会社の人に頼んであちこち聞いてもらったが、どうしても見つからずに、しかたなくMOKEを借りることにしたが、ドアのない車はもろに大粒の雨が降り込み、車の中で傘をさすこともしばしばあった。おまけにトランクがないので、カメラや荷物をちょっと置いて車を離れるということができない。これは痛かった。行動がかなり制限されてしまった。ゴルフ場のカートを連想してもらいたい。

 セイシェルの雨期は半端じゃなかった。

太平洋からインド洋にかけてどこにでもいる移入種のチョウショウバト 9時半ころ雨が上がる。熱帯植物の植えられた庭には、真っ赤な美しいシロハラベニノジコが何羽もやってくる。花をついばんだり電線と電線の間にいっぱい巣を張っているクモを時々獲っている。その他に藍色で地味だけど翼の脇のあたりに黄色いパッチがあるセイシェルタイヨウチョウ、太平洋からインド洋までどこにでもいる移入種のカバイロハッカとチョウショウバトなど。

セイシェルではお持ち帰り弁当がさかん さてビクトリアに出て本屋でセイシェルのガイドブックや鳥の図鑑を買う。商店街の集まっている地域はそんなに広くはないが、中心地は結構複雑に小さな道が入り組んでいて、人があふれかえっている。レストランのたぐいはあまりなくて、昼食としては発泡スチロールの入れ物に入ったお持ち帰りの弁当が人気のようで、プラスティックバッグに入れてぶら下げていく人をあちこちで見かける。われわれも一軒の店で、Grilled fishとFried rice beefを注文した。計40ルピー(1ルピーは公式レートでは20円ほど)Grilled fishはインディカ米の御飯をどっさり詰めた上に、おかずをのせてあふれんばかりである。島を一周しても米をつくっているようすはないのに、この島の人の主食は米なのだ。ちなみにこの島のインディカ米はおいしく炊けている。

 街中ではマダガスカルキジバトやセイシェルアナツバメを見かけた。

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