Bat Hospital 3  Tick paralysisの治療

Bat hospitalの入り口はオオコウモリのステンドグラスになっている。右は抗血清Tick paralysisは、前に述べたように唾液に毒を持つダニに噛まれて起こる。ダニのほとんどは無害で、そのようなダニはオーストラリアには一種類しかいない。このダニに噛まれると神経も筋肉も麻痺して、オオコウモリは木から落ちてしまう。治療はこの毒から作った免疫物質(つまりヘビ毒の血清のようなものだと思うが)を静脈注射するが、子どものオオコウモリだと静脈注射が難しく、背中に注射することもあるという。VEIN(静脈)という単語を知らなかったので?という顔をしていたら、檻のオオコウモリを一頭捕まえてて、翼の前縁部の血管を示してくれた。話の流れからだたぶん静脈注射だろうと見当はついていたけど・・

で、この薬が一頭あたり10$、おまけに落ちてから早いうちでないと直らないという。98年にはこのTOLGAのBAT HOSPITALだけで200頭治療したそうなのでかなりの金額になるだろう。この年はその他に約50頭のオオコウモリの孤児を育て、鉄条網や防オオコウモリネットにかかって怪我したオオコウモリを30頭以上助けたという。

入院患者用の病室も見せてもらった。重態でぶらさがることができない患者のために引き出し式のかごと、ぶら下がれるようになった患者のための縦長のかごが部屋いっぱいに並んでいる。更に回復したら外の檻にいってリハビリするとのことだ。現在はシーズンオフのため、屋内病室にはだれも入院していなかった。

アサトンのスーパーマーケットがただでバナナをくれるので、引き出しいっぱいに青いバナナが詰まっていた。バスタオルにくるまれているのは、成熟を促すためだろうか、黄色く熟しているのもあった。

小コウモリが保護されてくることもあるので、ミールワームも大量に飼っていた。ちょうどミールワームに餌をやるところを見せてもらったが、りんごを食べるとは知らなかった。日本に帰ってから、うちのミールワームにもりんごをあげることにした。

そういえば種はわからなかったけど、このBat hospitalの部屋の前には小コウモリがやってきて、夜の休憩場所にしていた。

Bat hospitalは、寄付によって運営されている。われわれの宿泊費も、オオコウモリのために使われている。その他にもオオコウモリTシャツや、スウェットシャツもいろいろ売っていたので、喜んで買い込んだ。なぜかアメリカのオオコウモリ童話「ステラルーナ」の読書奨励ポスターもあって、欲しそうな顔をしていたら、売ってくれた。このポスター、ステラルーナが本を読んでいるのだけど、三省堂のコウモリしおりと違って、ちゃんと本は正しい方向に向いている。


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