Bat Hospital 4  孤児を育てる

庭にあるリハビリ用檻Tick paralysisの季節は、オオコウモリが子どもを育てる季節でもあるので、親が死んで孤児になるコウモリもでてくる。また果樹園で害獣として撃たれることも多いので、その孤児もhospitalに収容される。

オオコウモリには生後6ヶ月以上の人間の赤ちゃん用ミルクが、いいという。その他にもいろいろな育て方が報告されていて、中には豆乳を飲ませる方法もある。そりゃ大人になるとベジタリアンだけど、おっぱいがお母さんの味がしないんじゃないかな。

ここではネズミの水飲みによく使われる、ビンに吸い口のチューブがついているやつを利用してSelf-feederにしている。子オオコウモリは皆、すんなり慣れるようだ。だいたい4時間ごとに中身は交換する。

自然界では赤ちゃんが小さい頃は、オオコウモリのお母さんは胸にぶら下げて採餌に行くが、生後6週間たつとねぐらに残していくようになる。ここではヒーターを入れた室内でバスタブ(これは掃除しやすいように)の上に金網を置き自力で上り下りしたりできるようにした装置で20−40頭の子コウモリを飼い、似たような状況を作りだしている。

体重200gを越える頃に、屋外の檻に移す。さらに1月半ばから檻の出入り口を開けて、外で飛ぶ練習ができるようにする。ジェニーさんの家はアサトンの町から6kmほどあるので、周囲はユーカリと熱帯樹で近所の家も少々離れているので「おたくのオオコウモリが来てますけど・・・」ってなことは、起こらないようだ。またオオコウモリを放す予定のTOLGAのコロニーまでも10kmあるので、放したあと帰ってきてしまうこともないという。

しかしオーストラリアにはフクロウやニシキヘビという捕食者がいるので、まだうまく飛べない子コウモリには厳しい世界だ。ここへくる前の晩に泊まった、Kingfisher parkで、ちょうどアカチャアオバズクRufous Owlという体長50cmくらいの巨大なフクロウが、交通事故にあって保護されていた。こいつがオオコウモリの天敵である。

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