9 天国への道のり

 今日は日帰りでクーザン島へ行く。セイシェルの地名はフランス語が多く、cousinをクーザンとは読めなかった。

 6時45分、迎えの車が来る。地元の人と見える運転手に、オオコウモリについて聞いてもらった。セイシェルオオコウモリは特に保護などされていないので、誰でも獲って食べたり飼ったりすることができるという。別にただそこにいるから食材として食べる人もいるだけで、マリアナの人たちのように、ごちそうというわけではないらしい。

 まずはお隣のプララ島(綴りはPraslin、これまた読めなかった)へとプロペラ機で飛ぶ。かつての南大東島空路でお馴染みの、20人のりDHC−6。搭乗手続きをすると黄色いプラスティックのカードを渡される。これが搭乗券になる。セイシェルは小さな島の集まりなので、たくさんのフライトがある。フライト別に色が分かれている。ふわふわと揺れながら20分でプララ島へ着陸。

 プララ空港では現地の係員に迎えられる。セイシェルには日本人係員が一人だけいるが、あとは完全に日本語の通じない世界である。クーザン島へはここからクルーズなのだが、お昼過ぎに終わるので、そのあと船着き場にタクシーで迎えに来てもらってバリ・デ・マイという国立公園に行く手配を頼む。

 船着き場は空港とちょうど反対側にある。ホテルへいくお客とタクシーの相乗りで行く。

我々以外はみなリラックスした格好だった クルーズ船は砂浜から数十メートル離れたところに係留してある。ボートに分乗して乗りこむ。乗客は25人ほど。バードウォッチングツアーのつもりで雨具や双眼鏡、カメラ、図鑑を持って長ズボンをはき、ウォーキングシューズを履いているのはわれわれだけで、他の人はだいたい水着にサンダルである。ちなみにボートには海の中から乗るので、サンダルの方が実用的である。日本人が他に一組いただけで、あとは全員ヨーロッパ系、フランス語が飛び交っている。

 島影を抜けるとよく揺れる。ただ高速船の空を飛ぶような揺れ方は、乗り物に弱い私でもそれほど苦痛を感じない。(それよりもゆっくりとしたうねりの方が苦しい)時々エンジンを落として、とりわけ大きな波をやり過ごす。海上をミズナギドリが飛ぶ。

 40分ほどでクーザン島につく。この島は全島、鳥の生息地として保護されている。研究者以外は、個人でこの島に上陸することができない。週二回のこのツアーに参加するしかない。またツアーの客は、個人行動を禁じられていて、必ずガイドのあとをついて歩かなければならない。またネッタイチョウやアジサシなど地面に巣をつくる鳥たちの繁殖地なので、ネズミを移入しないように、クルーズ船は直接接岸できない。数十メートル離れたところに停泊して、6人乗りの小さなボートに乗り換える。

ボートは砂浜に突進して乗り上げた 波打ち際には横からの波があるので、ボートは手前で止まって波が収まるのを待つ。静かになったところで、砂浜に向かって猛突進。そのままスピードを落とす気配がないので、「え、ひょっとしてこのまま乗り上げるの」と気がついたときには、砂浜にどーんと乗り上げていた。波打ち際は細かい砂が厚く積もっていて、それほどの衝撃ではないが、なかなかダイナミックな上陸である。再びボートを水に浮かべるのも、大きな波が来るのを待って、えいっと押し出すのだ。これを何度か繰り返して、全員上陸。

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