自強号で台北へ

 翌日も小雨、昨日とは別の店で、珈琲と豆乳、肉まん、野菜まん、ちまきを食べる。ちまきは、餅米に脂身が入っていて八角の香りがする。計90元。
 宿の支払いを済ませる。ご主人は再び大部屋に首をつっこんで、昨日の英会話のできる女性二人を呼び出そうとしたが、彼女たちは部屋の入口からなにやら指示していた「数字は日本語でも同じよ。」とでもいわれたのだろう。明細書をわれわれに見せる。一泊2人で900元。
 7時30分前後に港を出る船は計4隻、桟橋周辺は降りる人乗る人であふれている。おまけに急に雨が強くなり、さらにごったがえす。船はほぼ満員である。例の台東で買った酔い止めはききすぎるので、さらに量を減らして、今度は錠剤の方も二つに割る。これで完全に二人で1人前だが、それでも船中は熟睡。1人分を完全に飲んだら、目が覚めなくなってしまいそうだ。

 下船後は客待ちしているタクシーにのって、台東駅へ向かう。200元。
 
台東駅は地方の素朴な駅という雰囲気である。ここから台北まで自強号(特急列車)でいく。全席指定で、席は取りにくいと聞いたが、窓口で難なく買えた。約300kmが6時間ほどで1人815元。ガイドブックで見た自強号はなかなかしゃれていたが、区間によって車両が違うようで、臺灣の東側を走っている自強号は少々くたびれた車両であった。ドアは自分で開けて乗る。9時45分、定刻より少々遅れて台東駅を出発。乗車率は3割くらいですいている。
 車窓からはバナナ、パイナップル、お茶、トウモロコシの畑が見える。田んぼも多く田植えが終わって青々と稲が育っている。ヤシの木が田んぼを囲んで植えられていたり、パンノキの林が見えるのが南国らしい風景である。電線にハッカチョウが止まっている。ロタでさんざんみたオウチュウも時々止まっている。缶入りの仙草蜜というのを飲む。仙草ゼリーが入ったドリンクで、甘さ控え目が良い。

 途中の駅で停車中にホームのお弁当売りから駅弁を買った。ここは、「峠の釜飯」みたいに駅弁で有名な場所で、駅弁ねらいでホームに降りる人がかなりいる。100元札を出すと10元コイン4枚のお釣りパックが用意されていて、パッと出してくれるところも峠の釜飯みたいだ。お弁当はあたたかく、経木につつまれているのが懐かしい。ご飯の上に直接ソーセージや煮卵や揚げ物がいろいろとのっかっていて、ご飯に味がしみていて、決して上品なものではないがおいしかった。「峠の釜飯」のように弁当自体に特色があるわけではないようだ。
 台湾中どこでもバイクを見かけるが、線路や駅のホームでもバイクで走る人がいてびっくり。


←お弁当を買う人々。向こうに映っているのも自強号
 駅で停車したとるときに、目の前に駅員が昔懐かしいタブレットをセットしたので、対向列車が通過するときにこれをとるためにスピードを落とすだろうと思ってデジカメを構えていたのだが、思いも寄らずかなりのスピードで通過して持ていってシャッターを切れなかった。おかげで自強号の写真は撮れなかった。(自分が乗っているやつを撮ればよかったのだが)
 花蓮12時45分、結構長く停車する。100元の豪華弁当を車内販売で売りに来た。通路をはさんで反対側の人が食べるのを見ていたが、先ほどの60元とさほど変わりはないように見えた。花蓮いも、粟餅なども売っている。線路近くにこのあたりの特産大理石が切り出したまま積んである。このへんは山が海のすぐそばまで迫っていて、トンネルが多い。
 台北近くになると、住宅街が続き、町中になってきた。やがて列車は地下に潜り台北駅へと到着。

  

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