日本人がいきそうなホテルって

1月3日、ゆっくりしようと思ったら、部屋に入り込んでいた蚊に刺されて、痒くて目が覚めてしまった。

ランカウイは今夜で最後。今夜一晩だけタンジュンサンクチュアリーという北部にあるホテルに泊まるのだ。最初日本からインターネットで予約しようとしたとき、期間中はすべて満員のはずだったのだが、こちらに来てから立ち寄ってフロントできいてみたら、最終日まですべて空きがあった。津波でキャンセルがたくさんでたのだろうか。ランカウイでは、インド洋に面したベルジャヤホテルとペランギビーチホテル以外は影響ないのだが、テレビなどの被災地の報道におそれをなしてキャンセルした人も多いようだ。

トロピカルリゾートをチェックアウトして、北に向かう途中に、お米博物館というのがある。博物館自体は週一日(火曜日だったか)しか空いてないので入らなかったが、周囲の田んぼには鳥が多い。よくみかけるシマアカモズよりもひとまわり大柄なタカサゴモズがいた。

ますずっと北の方までいって、ダタイホテルとアンダマンホテルの間の熱帯林を少し歩く。ミソサザイによく似た鳥が、チュッチュッとこれまたミソサザイの地鳴きのように鳴いていた。目が赤くて背中から腰が鮮やかな水色でお腹は黒というすごく目立つルリコノハドリがやってきた。

ハイイロのリスと2色リス午後2時過ぎにタンジュンサンクチュアリにチェックインする。森の中と海沿いに二軒長屋のコテージが散在する。ベランダからは灰色のリス、二毛リスと名付けた黒と茶色の大柄なリス、カニクイザルなどが見える。

バルコニーからはリス2種とカニクイザルが見られる泊まった部屋はヒルトップといって、海から斜面の林の中にあり、海から数十メートル離れている。予約したとき海沿いのコテージ(シービュー)も空いているし同じ値段だからと盛んに言われたが、動物観察にはヒルトップの方が断然いい。しかし海辺のリゾートが売り物のホテルに来て、同じ値段なのに海に面してないコテージを指定するなんて変な客だと思ったことだろう。

部屋で一休みしていると電話が鳴り"Are you Mrs.Osawa?"と言われて飛び上がる。トロピカルリゾートを予定より一泊早く切り上げてチェックアウトするときに、どこに行くかは告げてないのに、いったい全体世界中のどこの誰が今われわれがここにいることを知っているんだろう。

かけてきたのは、レンタカー会社で、われわれが借りている車を取り替える必要があるので、代わりの車を持ってそちらにいくというのだ。電話口で大声で喋られると、そうでなくても聞きにくいマレーシア訛の英語が更に聞きづらくて、何のためにという部分は聞き取れなかったけど、理由は実は見当がつく。われわれが借りている車は、返却予定の明日でちょうど車検が切れるのだが、夜の飛行機で帰るので返却は夜7時に空港である。翌日はもう車検が切れているのにどうするんだろうかと、不思議に思っていたからだ。

子供をごちゃごちゃ連れた女性が、4WDの代車でやってきたときに、どうしてわれわれがここにいることを知ったのかを訪ねてみた。トロピカルリゾートに電話してチェックアウトしたと聞いて、日本人が行きそうなホテルはどこかと考えて、最初にビレッジ・リゾートを、そして二番目にこのタンジュン・サンクチュアリに電話したら、あたったとの返事だった。

日本人が行きそうなホテルねえ・・・・

ランカウイのガイドブックや旅行会社のパンフレットを見ればわかるけど、日本人がよく泊まるのは

ダタイホテル                      1325リンギット
アンダマン・ダタイ・ベイ                 900リンギット
タンジュン・ルー・リゾート                980リンギット
ベルジャヤ・ランカウイ・ビーチ&スパリゾート    450リンギット
シェラトン・ランカウイ・ビーチリゾート          550リンギット
ペランギ・ビーチ・リゾート                620リンギット

あたりじゃないだろうか。(値段はワールドガイド マレーシアブルネイ2004年版からツイン一泊 ただし今はハイシーズンだからもっと高い)

ビレッジ・リゾートは195リンギット、タンジュン・サンクチュアリは230リンギットだから、一泊70リンギットの安ホテルに泊まる客が、最後の一泊だけ奮発するとしたら、どこにするかを考えたんでしょう。

頭の中にeuphemism(婉曲語法)という単語が浮かんだけど、口に出すのはやめておく。

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