4 ドアのある車が欲しい

 市場の外にも野菜を売る屋台が何軒かでている。場外市場である。駐車場の近くにスーパーがあるのだが、賑やかな市場周辺とは対照的に、閑散としていて品数も少ない。

 いつも人々が行列をつくっている人気のお持ち帰り弁当のお店が、駐車場の向かいにあるのだが、今日はClosedの札がかかっている。中では忙しく調理しているのにどうしたのかなあと、ガラスのドア越しにのぞいていると、手招きされた。どうやら売ってくれるらしい。チキンシチューとStir fry vegetable & beefで45ルピー。出ようとするとドアには鍵がかかっている。われわれを通すために開けてくれたが、入れ替わりに入ろうとした他のお客は断られていた。どうやら予約注文でもたくさん入っているらしい。いかにも外国人といった風体のわれわれは、特別に入れてくれたのだろうか。

mokeは雨期のセイシェル向きではない 駐車場に戻ると大雨が降ってきた。ドアのない車は、熱帯の風を伴うどしゃぶりの雨には全く向いていない。車の中で傘をさすが、かなり降り込んできるのでタオルを一つ雑巾にして、座席に溜まる水をしょっちゅう拭わないと、座っているわれわれがびしょぬれになる。まともなレンタカーを予約しておかなかったのは一生の不覚であった。

 小雨になったので、お弁当を食べに再び植物園に行く。今日はkioskが開いている。セイシェルオオコウモリの声が入ったCDがあったので購入。


 午後一時頃小雨になってきたので、島を一周することにする。出発点ビクトリアの町は、島の東海岸の北寄りにある。東海岸を南下するとすぐに空港がある。他の島とを結ぶプロペラ機が飛んでいく。南大東島でお馴染みのDHC−6である(現在の大東島は一回り大きいDHC−8が飛んでいる)。海岸線はところどころに干潟があって、キョウジョシギやダイゼン、アオサギ、チュウシャクシギ、メダイチドリなどがいる。マングローブの林になっているところもある。

 再び大雨になってきたので、車を止めて降り込まないように車の中で傘をさす。ドアがないとまともに中に降り込んでくるのだ。

 雨があがったので再び南下、島の南端近くでササゴイが浅い海の中にたたずんでいるのを見る。なんかヘン。オオアジサシが飛んでいる。

 島の西側を今度は北上する。こちら側は海が荒れていて風が強い。ところどころにホテルがあり、大きいホテルの周辺だけは、観光客や従業員で賑やかだが、それ以外の場所は、静かな集落がところどころにあるだけだ。
 
 Grande Anseというところに木道があったので、歩いてみた。見事なマングローブ林である。木道の入口にはコバテイシの大木があった。コバテイシは沖縄ではオオコウモリの大好物である。地面に落ちた実の中には、囓りあとがあるような気もするが、よくわからない。通常ペリットが落ちているのだが、なかった。しかし土砂降りの雨が一日に何回も降るから流れていってしまったのかもしれない。

マヘ島の丘陵地帯 さらに北上した丘陵地帯はNational parkとなっているのだが、道は行き止まりである。さてここからビクトリアへは、この丘陵地帯を越えなければならない。途中に開拓時代の修道院の跡がある。ここには学校があったようで大きな木が規則正しく並んでいるのは其の時代に植えられたのだろう。展望台があり、晴れていれば美しい海岸線が見られたと思うが、あいにく彼方は雨が降っているのか霞んでいる。この周辺はお茶畑が広がる。セイシェルは紅茶の産地である。

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