ネーチャークルーズ

 国立公園の行事の中で有料のものは、民間のクルーズ船やバスツアーにレンジャーが乗って解説するというものである。そのなかで一番のお薦めは、ネイチャークルーズである。これは WHALE WATCHER,Inc という会社が所有するACADIANというクルーズ船の、10: 00AM発クルーズに国立公園のレンジャーが乗船して、解説をしてくれるものである。ちなみにWHALE WATCHER,Incは名前の通りホエールウォッチング船も出しているし、観光用のレトロな帆船によるクルーズもやっている。

 さて9:45波止場集合ということで時間通り行くと、既に列ができている。乗客は総勢100人以上、年配のご夫婦が多い。切符があるから乗り損ねるということはないが、見晴らしのいい2階の席には座れなかった。レンジャーは2階からマイクで解説し、放送はよく聞こえるのだが、hearingがそれほど得意なわけではないので、身振りがないと今ひとつ理解できないところも・・・ちなみに私は海外では日本人宅以外へは電話はしません。 
お客がほぼ乗船した後、レンジャーが乗船。透明カードケースを鞄から出して全員に配る。片面には、ここFrenchman bayの海図が、裏側には図鑑からコピーした鳥が数種類載っている。ちなみにこのクルーズ中に出てきた鳥は全てカバーしていた。クルーズ会社のトレーナーを着たアシスタントの女性2人が双眼鏡の無料貸し出しをする。この二人はロープ操作などの作業もやる。 先ほどから、沖合に巨大な船が停泊していて、艀が往復しているのに気がついていたが、岸壁から離れるときに艀と並んだので横腹の文字を読むと「Queen Elizabeth II」!そうか!海の貴婦人が停泊中だったのか。どうりで高そうなトランクを持った人たちが降りてくると思った。われわれは日本で、にっぽん丸の安いツアーに参加したことがあるのだが、あれでさえ別世界のできごとのようだったけど、QE2はとにかく大きく、ベランダ付きの優雅な部屋がずらりと並んでいる。

 さて、右手にBald Porecupine Islandという小さな島が近づいてくる。3時の方向の崖の上の枯れ木にハクトウワシがいるとレンジャーの放送が入る。双眼鏡を向けると、みごとな白い頭をした堂々たる成鳥だった。美しくて威厳があり、アメリカの国鳥なのがわかるような気がする。海の上にはBlack guillemotというウミガラスの仲間があちこちに浮かび、近くによってくると足が鮮やかに赤いのも見える。 Double-crested cormorantというウが時々飛んでいく。小さな岩礁の枯れ木に、茶色いハクトウワシの若鳥が止まっていて、ハクトウワシは3年目から白い頭になるなどという説明が入る。後ほどレンジャーが図鑑を回してくれた。 海岸沿いにはに船が進むと、豪華な別荘があちこちに建っているのが見える。ひときわ巨大な邸宅は、現在では島内にあるJacson laboratoryという癌の研究センター所有のサマーハウスになっているとか。ちなみに1925年に建てられたある別荘は部屋が80、バスルームが28、大理石の暖炉が26、電話線が52あったという。今ではこういった大邸宅の多くは、ホテルや企業のサマーハウスなどになっている。 岸にはセグロカモメやGreat Black-backed Gullが飛び交う。沿岸にはロブスター篭の鮮やかな浮きが点々と並んでいる。浮きにはカラフルな模様がついていて、漁師ひとりひとり模様が異なるようだ。Great headという岬で、レンジャーに連れられた別の観察会の一行が十数人いて、こちらに手を振っている。 

船はUターンして、岸から離れた湾の真ん中を戻る。Egg rockという灯台のある小さな岩礁に近づき停泊する。アザラシがたくさん岩の上にごろごろしている。ゼニガタアザラシは白っぽいのや灰色地に黒い斑点があるのや鮮やかなオレンジ色のと毛の色がさまざまで、海に浮かんで頭を垂直に出してぽけ〜っとこちらを見つめているのもいる。そのまま上向いてあくびをしてるユーモラスなものもいる。岸にひときわ大きな黒いのがいるが、Gray sealらしい。周囲にはケワタガモが泳いでいる。 
小さな島々の間を通る。島の名前の由来や地質の説明をしているらしい。一つの島の崖のてっぺんにあるOakの木にはハクトウワシの古い巣がある。ハクトウワシは同じ巣を何年も使い、だんだん大きな巣になるという。日本でオオタカの巣を見たことがあるが、やはり何年も使っている間に枝を積み上げて巨大な巣になっていた。あれとよく似ている。 桟橋に向かう途中、船の横をイルカがヒョイヒョイとジャンプしていった。

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