Bat Hospital

 海辺のケアンズから3時間も車で行くと、シロアリの塚が転々とあるユーカリの疎林となる。乾燥地とまではいかないが、熱帯雨林ではない。

 アサートン台地の大部分は、このような乾き気味の疎林と牧場が占めているが、Tolga scrubはその中にぽつんと残ったわずか1km四方の小さな熱帯雨林である。ここには周年メガネオオコウモリのコロニーがある。オーストラリアには4種類のflying foxが棲んでいるが、他の3種はある程度乾燥したところにも棲むのだが、このメガネオオコウモリだけは熱帯雨林に特化している。

 10月になって暖かくなると(ここは南半球)唾液に毒を持つダニが発生して、メガネオオコウモリが大量に被害を受けていることが1990年にわかった。ダニに噛まれたオオコウモリは神経や筋肉をやられ、体が麻痺して落ち、やがては死に至る。このダニは地上2mまでの植物の上にいるので、どちらかというと犬や猫が被害を受けることが多く、通常オオコウモリが噛まれることはないのだが、ここアサートンだけで毎年数百頭のオオコウモリがやられているのは、食性が変化して作物に依存して低いところに降りてくるようになったせいらしい。

 アサートン台地にはメガネオオコウモリのコロニーが3つあり、それぞれを担当するBat hospitalも3つある。その一つTolga scrubを担当しているアサトン(これは町の名前)のBat hospitalに、見学がてら泊めてもらうことにした。ここは二部屋だけだが自然観察の宿も経営して、コウモリ保護活動の基金にしている。


Bat hospitalの入院患者たち 1 Bat hospital へいく
 2 入院患者にあう
 3 Tick paralysisの治療
 4 孤児を育てる
 5 自然にかえす
 6 オオコウモリ普及教育
 
7 メガネオオコウモリの未来

右の写真はBat Hospitalに泊まるともらえる葉書です。

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